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闇を纏う祈り

[381]  刹琉  2010-05-29投稿

待ってるの……。

[私]は[貴方]を。悠久(とわ)の眠りを友として。 イバラの棘が吸いあげる。深紅の蜜を糧として。

待ってるの……。

[貴方]に残した硝子の靴は[私]の下(もと)への道先案内。[貴方]に纏う漆黒にも似た深紅の蜜を踏み締めて。

待ってるの……。

黙して隠した[私]の声は[貴方]を求めるこの手のように。深い深い蒼の底。もがいてさ迷う刃と共に。

待ってるの……。

深い深い森の底。罠に嵌められ檻の中。監視の瞳[私]を狙う。深紅い(あかい)果実は心の臓。絞り取られる蜜と為る。けれど[貴方]はまだ来ない………。

待ってるの 待ってるの待ってるの………。

 幾千の闇を幾千の[私]は【貴方】を待ち続ける。

 たった一人の【貴方】だけを。

待てども待てども【貴方】は来ない。

深紅の蜜は涙と共に止(とど)まる事をしようとしない。

闇から手招く白い手は[私]を連れて何処へ行く……?

待ってるの 待ってるの待っています。

深紅の闇に血塗られようと。

たった一人の【貴方】だけを…………。

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