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クリスタルクラッシュ5―?

[392]  いっと  2010-06-02投稿
「はい」
「…」
エナンの返事に彼女は目を光らせると、剣をもう一度鞘から抜きはなった。
「え!?」
この行動を予測していなかったのか、エナンは動揺したような表情を浮かべた。
「渡しなさい」
「…は?」
「クリスタルをこちらに渡しなさい、と言っているのです」
「!」
ミーナ、リリア、エナン、ダリル、ザックの五人はその言葉を聞いて一斉に息を呑んだ。
「メディナさん、どういう事ですか?クリスタルはあなたにとって必要の無いものでしょう?」
「使うつもりは無いわ」
メディナは首を横に振った。
「でも、それを所持する権利が私にはあるの」
「権利?」
「そう」
「言っている意味がわかりません。どういう事か詳しく説明していただけませんか?」
リリアは厳しい表情でメディナに尋ねた。
「…」
メディナはそう言われ、五人を値踏みするような目でしばらくの間見つめた。
やがて彼女は小さく息を吐くと、
「私はフール族なの」
と、言った。
「フール?あの、少数民族のですか?」
「ええ。元々クリスタルを所持していたのは私たちフール族なの」
「!?」
「だから私には所持する権利があるのよ!」
彼女は強い口調で言い放った。
「フール…そうか、クリスタルを作り上げた魔術師はフール族だったと何かの書物に書いてあったぞ」
エナンは顎に手を当てて小さく頷いた。
「グリア様は偉大な魔術師だったわ」
メディナは少しだけ表情を和らげた。

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