人生笑い飛ばせば勝ち(生い立ち)
自慢ではないが、私は物心着いた頃から、毎日鏡を見るのが楽しみで仕方ないほど愛らしかった。
(現在では見る影もないが。)
時はバブル期真っ只中。父親は自営業でブイブイいわしていたし、母も若くてそれはそれは美しかった。
住んでいたマンションは大阪市内でも少しアーバンな好立地に、14階建ての10階というほどよい位置に部屋を構えていた。特別広くはないが、3LDKの部屋に親子三人不自由無く暮らしていた。
同じマンションの住人には怱々たる経歴の持ち主が多く、医者、弁護士、どこやらの社長さんなど、今なら間違いなくセレブと呼ばれるであろう人々が暮らしていた。
そんなセレブ達との交流はプライドが高く見栄っ張りの母の充分な自己満足になっていたし、わたしもセレブ達の娘や息子たちと友達になれ、それなりに楽しい日々を送っていた。
まだ幼稚園に通っていた幼さでも、自分がかなり順調に恵まれた環境に生まれ育っているという感覚があった。
今振り返っても、私の人生、滑りだしはかなり順調であった。
私に訪れた人生で初めての転機は、ちょうど妹が生まれた翌年あたりだったと思う。まだ小さかったのであまりはっきりとは覚えていない。
しかし、あの朝のことだけはかなり克明に記憶している。
妹が生まれて親子四人になった私たち家族は、いつも和室に布団を並べ、眠っていた。あの日の朝は、何やら言い合う声で目が覚めた。
「何を言うとるんや」「そんなことあるわけないやろ」
内容はまだ幼かった私には理解できなかったが、母親の方がすごい剣幕でまくしたて、父親を責めていた。ただでさえ太くて乾燥気味の毛髪はさらにごわごわに振り乱され、形相ははんにゃのようになってしまった母が妹を抱いた状態で父を睨みつけている。
何やらただごとではない気配が漂っていた。父は妹を取られてはいよいよ味方に私をと引き寄せてくる。私は当時、平和主義の申し子のような娘であったため、とりあえずなされるがまま父の傍で頭を垂れていた。
続く
(現在では見る影もないが。)
時はバブル期真っ只中。父親は自営業でブイブイいわしていたし、母も若くてそれはそれは美しかった。
住んでいたマンションは大阪市内でも少しアーバンな好立地に、14階建ての10階というほどよい位置に部屋を構えていた。特別広くはないが、3LDKの部屋に親子三人不自由無く暮らしていた。
同じマンションの住人には怱々たる経歴の持ち主が多く、医者、弁護士、どこやらの社長さんなど、今なら間違いなくセレブと呼ばれるであろう人々が暮らしていた。
そんなセレブ達との交流はプライドが高く見栄っ張りの母の充分な自己満足になっていたし、わたしもセレブ達の娘や息子たちと友達になれ、それなりに楽しい日々を送っていた。
まだ幼稚園に通っていた幼さでも、自分がかなり順調に恵まれた環境に生まれ育っているという感覚があった。
今振り返っても、私の人生、滑りだしはかなり順調であった。
私に訪れた人生で初めての転機は、ちょうど妹が生まれた翌年あたりだったと思う。まだ小さかったのであまりはっきりとは覚えていない。
しかし、あの朝のことだけはかなり克明に記憶している。
妹が生まれて親子四人になった私たち家族は、いつも和室に布団を並べ、眠っていた。あの日の朝は、何やら言い合う声で目が覚めた。
「何を言うとるんや」「そんなことあるわけないやろ」
内容はまだ幼かった私には理解できなかったが、母親の方がすごい剣幕でまくしたて、父親を責めていた。ただでさえ太くて乾燥気味の毛髪はさらにごわごわに振り乱され、形相ははんにゃのようになってしまった母が妹を抱いた状態で父を睨みつけている。
何やらただごとではない気配が漂っていた。父は妹を取られてはいよいよ味方に私をと引き寄せてくる。私は当時、平和主義の申し子のような娘であったため、とりあえずなされるがまま父の傍で頭を垂れていた。
続く
感想
- 38024: 続きを楽しみにしてます☆さんちゃん [2011-01-16]
- 38043: 引き込まれてしまった…続き気になります!:まこ [2011-01-16]