ティルヴィングという魔剣
そもそも、その剣は
人間の忌み嫌われる
感情をきっかけに
鍛えられた。
恫喝と暴力。
虐げられた小さな人は、
恫喝と暴力に屈し、
憎悪と悪意でもって
剣を鍛えた。
どんな英雄でも、
どんな悪党でも、
どんな暴君でも、
その剣の前では
紙に等しい。
また、その剣は
持ち主の願いを三度
叶えるが、
必ず呪われた祝福を
もたらす。
圧倒的な力と、
それに伴う自らの命
へのリスク。
それでも、人はその力を
欲する。
例え呪われた力でも、
大きな力に人は
魅入られてしまう。
全ては、自らのために。
他者を、虐げるために。
それが
自らを滅ぼそうとも。
その心が、自らを
滅ぼそうとも。
何故、過ちを繰り返す?
何故、呪いの螺旋を
断ち切れぬ?
同類を地べたに
はいつくばらせ、
自らを誇示するために、
それでも呪われた力を
欲するのか。
幾つもの命と、
幾つもの欲望を吸って、
魔剣は常に、
新たな主を求めている。
他者を虐げる事でしか
自らを立証できない、
自らの力でなく、
悪意に満ちた力を欲する
愚者を。
嘲笑いながら、
剣は待っているのだ。
けがれた心の掌が、
自らの柄にかかるのを。
他の命を潰した時の
人のクライ微笑みを。
そして、その微笑みを
自らの呪いで消し去る
瞬間を。
その魔剣が現れた時、
あなたならどうする?
その魔剣の刀身は、
あなたの本性を映し出す。
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