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ナグルファルという渡し船

[384]  ヤルンヴィドの番犬  2010-06-11投稿


さぁ皆の者 爪を切れ

長く伸びた その爪を

命はいつか 消えていく

それは明日やも
知れぬのだ

長く伸びた死者の爪を

冥府で欲する者がいる

死者の爪を剥がしては

船を造る者がいる

やがてその船出来たなら

怨み持つ死者引き連れて

地上へ向けて 舵を取る

恨みと憎しみ引き連れて

冥府を越えてやってくる





明日死ぬやも知れぬのに

なにゆえ人は爪を伸ばす

悪魔のように伸びた爪

欲する者が
冥府に居るのに



明日死ぬやも知れぬ事

忘れ去ってしまったか

いつ死ぬやも知れぬ事

すっかり
忘れてしまったか




無理もない

それは確かに無理もない

垂れ流しの自堕落は

何もかもを忘れさせる



無理もない

それは確かに無理もない

どうせ爪を切ったとて

人はいずれは死んでいく



死んだ亡き爪かき集め

船はやがて出来上がる

船は必ず出来上がる





人が生まれ続ける限り

人が必ず死ぬ限り

時が流れていく限り



船は必ず出来上がる














さあ皆の者 あきらめろ

黄昏の 刻は近い

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