シークレット†ハート11(好き…だけど)
《時間を遡る事、半日前…》
「なぁ、今日の花火大会の事なんだけどさー…」
窓の外から聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「あぁ、今日だっけ?やっぱ橘誘う気か?」
何とは無しに聞こえた会話。
“橘”という名に、ぴくりと反応する。
「…やっぱさ、告ろうと思うんだ。俺達だっていつまでもこのままじゃいらんないし、もう少ししたら受験に向けてかなきゃならない訳だしさ。だったら今のウチに橘に考えて貰おうかと思ってさ…」
窓の外では、まだ会話が続いている。
開いていたファイルをパタンと閉じて、生徒会会長はそっと窓の外に視線を向ける。
−−あれは…同クラの田中と斎藤?
紙パックのジュースを飲みながら、田中は「そうか」と相槌をうつ。
−−て、事は告るっつってるのは斎藤か…
「とにかくさ、今日帰り際にでも彼女誘ってみるよ。花火大会行かないかって。動かなきゃ何も変わんねーし」
「そっか。まぁ、頑張れ。…会長には気をつけろよ?ちょっと噂、聞いてるし…」
田中はぽんと斎藤の肩を叩いた。
その様子を見ていた生徒会長…、疾風は冗談じゃないと思う。
自分以外の誰かが雪月花の隣に居るなんて、問題外だ。
自分の想いは伝えられない。
だったらせめて、傍にいる間は俺だけの妹でいてもらう……。
俺はそっと溜息をつく。
今までもそうしてきた。
「悪いけど…渡せない」
彼女に近づこうとするなら、徹底的に排除する。
キリ…と唇を噛み、生徒会室を出る。
足早に教室に戻ると雪月花が初音とじゃれているのを確認し、自分の席に座る。
…初音が騒いでいる声が耳に入ってくる。
「多少ハメ外したって罰当たんないわよっ!い〜い?とにかくねセッカ!祭りは浴衣!!相場が決まって……」
いつまで続くのか…。
そうしている内に田中と斎藤が戻ってきた。
まずい…俺はとっさに振り返り、「雪月花」と呼ぶ。
「今日一緒に帰ろ?」
彼女は「うん」と答えると初音に向き直る。
それを見ていたのは、俺だけじゃなかった。
斎藤、田中…。
悪いけど諦めてくれ。
出遅れた二人は顔を見合わせ、こっそり溜息をついた。
「そんな簡単に誘えると思うなよ」
ぼそりと呟く。
今はまだ、あいつは俺の物だ………。
「なぁ、今日の花火大会の事なんだけどさー…」
窓の外から聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「あぁ、今日だっけ?やっぱ橘誘う気か?」
何とは無しに聞こえた会話。
“橘”という名に、ぴくりと反応する。
「…やっぱさ、告ろうと思うんだ。俺達だっていつまでもこのままじゃいらんないし、もう少ししたら受験に向けてかなきゃならない訳だしさ。だったら今のウチに橘に考えて貰おうかと思ってさ…」
窓の外では、まだ会話が続いている。
開いていたファイルをパタンと閉じて、生徒会会長はそっと窓の外に視線を向ける。
−−あれは…同クラの田中と斎藤?
紙パックのジュースを飲みながら、田中は「そうか」と相槌をうつ。
−−て、事は告るっつってるのは斎藤か…
「とにかくさ、今日帰り際にでも彼女誘ってみるよ。花火大会行かないかって。動かなきゃ何も変わんねーし」
「そっか。まぁ、頑張れ。…会長には気をつけろよ?ちょっと噂、聞いてるし…」
田中はぽんと斎藤の肩を叩いた。
その様子を見ていた生徒会長…、疾風は冗談じゃないと思う。
自分以外の誰かが雪月花の隣に居るなんて、問題外だ。
自分の想いは伝えられない。
だったらせめて、傍にいる間は俺だけの妹でいてもらう……。
俺はそっと溜息をつく。
今までもそうしてきた。
「悪いけど…渡せない」
彼女に近づこうとするなら、徹底的に排除する。
キリ…と唇を噛み、生徒会室を出る。
足早に教室に戻ると雪月花が初音とじゃれているのを確認し、自分の席に座る。
…初音が騒いでいる声が耳に入ってくる。
「多少ハメ外したって罰当たんないわよっ!い〜い?とにかくねセッカ!祭りは浴衣!!相場が決まって……」
いつまで続くのか…。
そうしている内に田中と斎藤が戻ってきた。
まずい…俺はとっさに振り返り、「雪月花」と呼ぶ。
「今日一緒に帰ろ?」
彼女は「うん」と答えると初音に向き直る。
それを見ていたのは、俺だけじゃなかった。
斎藤、田中…。
悪いけど諦めてくれ。
出遅れた二人は顔を見合わせ、こっそり溜息をついた。
「そんな簡単に誘えると思うなよ」
ぼそりと呟く。
今はまだ、あいつは俺の物だ………。
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