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シークレット†ハート13(好き…だけど)

[447]  刹琉  2010-06-14投稿
俺の隣を、カラコロと下駄の音を響かせてついて来る彼女。
ほんのりと香る、甘い香り。
繋いだ手のあたたかさ。俺を見上げる瞳。
つい気になって、彼女に視線が行ってしまう。
「ん?」と何気ない振りを装い問い掛ける。
「な、なんでもない」「そうか?」彼女はすぐに前を向き、「初音ちゃん、怒ってるかな?」なんて呟く。
「大丈夫だろ?」と、俺も何事もなかった様に呟き、腕時計を見る。

「約束、七時だったよな?まだあと三十分はあるし」

「本当…?よかったぁ」

ほっとしたように雪月花が微笑む。
約束の河原までは、ゆっくり歩いても十五分ほどで着く。
安心したのか、雪月花は俺の手を離し小走りに駆け出す。

「雪月花。危ないぞ?ちゃんと前見て『きゃっ』」

言ったとたん、彼女は何かに躓きバランスを崩す。
とっさに駆け寄り、腕の中に抱え込む。

「…危ない、だろ……」

ふぅ…と詰めていた息を吐き出し、抱えた身体を立ち上がらせる。

「あ…、ありがとう‥お兄ちゃん…」

よほど驚いたのか、俺の腕の中、顔を赤くしてオロオロしている。

−−お兄ちゃん…か

何も気にしない振りをしながら雪月花を離し、初音との約束の場所まで向かう。
隣を歩いているのに、雪月花とはもう手を繋ぐ事さえ出来ない。
いつの頃からか、彼女は人前で手を繋ぐ事をしなくなった。
何がそんなに気になるのか。
小さな頃は、自分から手を繋いでと泣いていた癖に。
さきほどまで繋いでいた右手をぎゅっと握りしめて、そっと溜息をつく。

−−兄貴なんて、ウンザリだ……

兄じゃなければ…そんな思いばかりが、頭の中を巡ってまわる。

「お、お兄…ちゃん。やっぱり、なんか変だよ?」

ふ、と呼ばれて気づく。
心配そうに、こちらを覗き込む瞳にぶつかる。
よほど物騒な顔をしていたに違いない。

「なんでもない」

そう、彼女に答え微笑む。
気付けばもう、約束の河原に着いていた。

「初音、来てるかな?雪月花、人多いから探すより携帯で連絡取って?」

……兄貴の役なんてウンザリだ。
けれど、それが俺や雪月花の為になるなら…。
今は我慢するしか、ない。

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