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すいもあまいも恋だから 第5話

[211]  バンブートレイン  2010-06-16投稿
二人で帰りの電車を待っていた。
クラスでは席が遠いけど、帰宅電車は方向が同じでいつもリカちゃんと一緒。小柄な19歳。
『芳恵(よしえ)ちゃんはいいね。いつも、皆と同じ席で。私は一人男子に囲まれて静かに絵を描いてるだけ』
リカちゃんは三日に一度はこの愚痴を言う。帰宅時間だけが唯一おしゃべりタイム。鬱憤が溜まっているのだ。
『Bクラス入ってきたね。』
『私なんか馴染めそうにない。きつそうだもん。』とリカちゃん。
『わかる気もする。』
私はリカちゃんより二歳年上で 年下の個性的な人を見ても 傍観してるけど、リカちゃんからしたら同級生。リカちゃんは 見た目がおぼこいし、男子と付き合ったことがないので純朴さがある。という私も高校は片想いだけで終了。恋はしばらく縁がないんだから、人のこと言えないな(?)
けれどリカちゃん。こう見えてヘビメタやビジュアル系バンドが大好き。私には不思議ちゃんでもある。
『リカちゃんの気になる子とかいた?』
『ドクロの人!』
『えっ!オカルトみたいな。』
『すっごくはまった。無条件で好き。』
やっぱり、不思議ちゃんだわ。

電車がホームに入ってきた。
『のろっか』と私。

入口反対側のドアの前で立つのが私達の定位置。

今日はいつもと違う展開が待っていた。
『こんにちは』
話し掛けてきた男性に ドキッとした。
『あっ、こんにちは』
私がつい見つめてしまった男性。Bクラスの年上の男性だった。

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