日常の風景 3
「ね〜、かあさ〜ん。おねがぁ〜いっ」
ゴロゴロとまるで猫撫で声で娘が擦り寄る。
「やだよっ自転車あるんだから自転車で行って」
暑苦しいのに擦り寄ってくるんじゃないっっ!
「え〜っだって、今日早めに学校いかなきゃだしぃ」
「だしぃ」じゃなかろ!!それくらい自分の足でしっかり歩け!と、言うか漕げ!!毎日毎日送り迎えしてたらガソリン代いくらあったって足りやしないのよっっ!
ウチの夕方はプチ戦争。
娘が定時制高校に通いだしてから、さらに拍車が掛かっている。
お互いに自分に有利な状況にするため、あれのこれのと手を変え品を変え戦は続く。
「ね〜?ほらほら、今日は朝早く起きて掃除も手伝ったしぃ、ゴミ捨ても行ったし、チビのお迎えも行ったじゃん?その上、チビの宿題も手伝った!!ね?ご褒美に送ってくれちゃったりなんかしたりして〜。ほらほらぁ」
「うるさい」
ぴしゃりと言葉を跳ね返す。
「…だいたいねぇ、掃除は自分で汚したあんたの部屋だし?ゴミ捨てはあんたの当番。朝早く起きるのは人間としてごくふっつ〜のコトだし?まぁ、百歩譲ってチビのお迎えと宿題は…うん。まぁ、アリガトウ」
ペコリと頭を下げる。
「母さん、それ、口先だけでしよーっ絶対だぁっっ!ありがとうがカタカナ文字に聞こえるよっ」
…ちっ…聡くなってるよ………。
ね〜ね〜うるさい娘を後ろに引っ付けたまま、サンダルを引っ掛け、私は裏の公園までチビを迎えに行く。
「チビーっ(名前)もう、時間だから帰ってこ〜いっ!」
「やーもうっ!最後の一回とか言って滑ってないで、さっさと来いーっ!間に合わないじゃんっっ!!」
なんか、いつの間にやら送ってくコトにされているようで。
「っっちっちょっと待て!!おっまえ、いつ送るっつった!?」
焦っても後の祭り。
がっくり肩を落とし本日の戦は終了。
勝者、娘。
あぁ、口惜しい……★
溜息を尽きつつ、家に帰る。
……あぁ、またしてもガソリンが飛んで行く………。
誰か私にガソリン下さい……うっうっうっ……★
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