子供のセカイ。176
わがままを言うなら、本当は二人を救い出して、ここへ連れてきてほしかった。しかし、それがどんなに厳しいことなのかは、美香にもわかる。
それに、彼らが無事であるかどうかさえわからないような状況だ。あんな派手な騒ぎを起こしたのだ。あの屈強な治安部隊の若者達に何をされているかわからない。
今はただ、彼らの様子を知ることができるだけで十分だった。
(きっと無事でいてくれるわよね。)
洋館で休眠を取った時に見た、あの悲惨な悪夢を思い出し、美香は悲痛な思いで、祈るように目を閉じた。
ミルバはそのまま玄関の扉を開け放ち、家から出て行った。リビングには、疲弊した顔色の美香と耕太が残された。
少しの沈黙の後、ぐう、と盛大な音が聞こえて、美香は思わず笑ってしまった。
「雰囲気ないわね……。」
「仕方ないだろ、昨日から何も食べてねぇんだから。」
耕太は不機嫌に美香の後頭部を睨む。
一方美香は、何だか肩の力が抜け、少し楽になれたような気がした。心の中でこっそり耕太に感謝しつつ振り返ると、美香は幾分柔らかな表情で耕太に向かって言った。
「冷蔵庫とか探してみる?何かあるかもしれないし。」
そして二人は冷蔵庫の中身を確認し、驚いた。中には、これでもかというくらいに食料が詰め込まれていた。野菜室は様々な野菜で、冷凍庫はアイスや冷凍食品、凍らせた肉やうどんなどで埋められており、特に一番スペースのある冷蔵室には、ラップをかけた耐熱皿がたくさん入っていた。その皿を一つずつ確認して、また美香は楽しい気持ちになる。皿の中身は、シチュー、ハンバーグ、寿司など、舞子の好物ばかりが揃っていたのだ。
二人は電子レンジでそれぞれ好きな料理を選んで温めると、湯気の立つ内にあっという間にそれらを平らげてしまった。二人は夢中でスプーンや箸を口に運んだ。思っていたよりもずっと空腹だったことに、美香自身驚いた。
腹が満たされて人心地がつくと、体がぽかぽかと温まり、急に瞼が重くなってきた。二人は会話もそこそこに二階へ上がると、美香は自分の部屋のベッドで、耕太は美香の両親の部屋のベッドで横になった。
そうして二人は、今度こそ本当に安全な場所で毛布にくるまり、安らかな眠りについた。
カーテンを閉め切った部屋では知る由もなかったが、ラディスパークでは朝の輝きがすっかり世界を照らし出していた。
それに、彼らが無事であるかどうかさえわからないような状況だ。あんな派手な騒ぎを起こしたのだ。あの屈強な治安部隊の若者達に何をされているかわからない。
今はただ、彼らの様子を知ることができるだけで十分だった。
(きっと無事でいてくれるわよね。)
洋館で休眠を取った時に見た、あの悲惨な悪夢を思い出し、美香は悲痛な思いで、祈るように目を閉じた。
ミルバはそのまま玄関の扉を開け放ち、家から出て行った。リビングには、疲弊した顔色の美香と耕太が残された。
少しの沈黙の後、ぐう、と盛大な音が聞こえて、美香は思わず笑ってしまった。
「雰囲気ないわね……。」
「仕方ないだろ、昨日から何も食べてねぇんだから。」
耕太は不機嫌に美香の後頭部を睨む。
一方美香は、何だか肩の力が抜け、少し楽になれたような気がした。心の中でこっそり耕太に感謝しつつ振り返ると、美香は幾分柔らかな表情で耕太に向かって言った。
「冷蔵庫とか探してみる?何かあるかもしれないし。」
そして二人は冷蔵庫の中身を確認し、驚いた。中には、これでもかというくらいに食料が詰め込まれていた。野菜室は様々な野菜で、冷凍庫はアイスや冷凍食品、凍らせた肉やうどんなどで埋められており、特に一番スペースのある冷蔵室には、ラップをかけた耐熱皿がたくさん入っていた。その皿を一つずつ確認して、また美香は楽しい気持ちになる。皿の中身は、シチュー、ハンバーグ、寿司など、舞子の好物ばかりが揃っていたのだ。
二人は電子レンジでそれぞれ好きな料理を選んで温めると、湯気の立つ内にあっという間にそれらを平らげてしまった。二人は夢中でスプーンや箸を口に運んだ。思っていたよりもずっと空腹だったことに、美香自身驚いた。
腹が満たされて人心地がつくと、体がぽかぽかと温まり、急に瞼が重くなってきた。二人は会話もそこそこに二階へ上がると、美香は自分の部屋のベッドで、耕太は美香の両親の部屋のベッドで横になった。
そうして二人は、今度こそ本当に安全な場所で毛布にくるまり、安らかな眠りについた。
カーテンを閉め切った部屋では知る由もなかったが、ラディスパークでは朝の輝きがすっかり世界を照らし出していた。
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