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ワンダーパート 7

[372]  やいち  2010-06-19投稿
ソファーに座って缶ジュースを口にしながら、僕はなんとなく二人に聞いてみた。
「二人ともいつもこれくらいに起きてるんですか?朝っていっても、早朝ですし。」
「俺は一時間くらい前に帰ってきたばっかなんだ。んじゃいつも通り、ヒノメさんがコーヒー飲んでたからさ。俺も朝酒だ。」
「朝一番のコーヒーはここでって決めてるんだ。」
ノックさんは笑いながら、ヒノメさんは静かにコーヒーを口に運びながら話した。

「それに、じきに彼が騒ぎ出すしね。」
「彼って誰ですか?」
「もうすぐわかるって。」
「本当に、ワンダの近隣では迷惑になっていないからいいものの。一番近いワンダの住人の私たちのことも考えてほしいな。」
瞳さんが少し呆れるように言った。

「今日はもう終わったよ。」アパートにある庭にあたる場所から男が不機嫌そうに入ってきた。
「あれ?テツさん今日はもう終わり?」
「最近はランニングしてるからな。そのあとに軽く木刀振って、体術の型で終わりだ。別に毎日毎日騒いでるわけじゃない。」
「そうか。それは少し言い過ぎたね。」
「いいですよ。少しはうるさいのは自覚してますから。で、お前が新入りか?」
「坂野春です。よろしくお願いします。」
「春か。俺は櫛本徹(くしもとてつ)だ。」
ノックさんが静かに僕の耳元で話す。
「気を付けろよ〜。テツさんは古流武術櫛本流の剣士だからな。無茶苦茶強いぞ。下手に怒らせるなよ〜すぐキレるから。」
「ノック!!変なこと吹き込んでんじゃねえぞ。」
「いや、俺はただテツさんがどれだけ危険かを…」
「ふざけてんのか!!」
ノックさんがテツさんをいじる。

古流武術か。
すごいな。
僕にも、そういう技があったら…救えたんだろうか。その場にいなかったのに、何を考えてるんだ僕は。

それにしても、ノックさんとテツさんは朝からテンションが高い。

普段ならうるさく感じるだろう二人の言い合いと、それをやれやれ、といった表情で見ながらコーヒーを口に運ぶヒノメさん。
この光景が新鮮で、なぜか今の僕には心地よく感じた。

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