かけがえのないもの 11
「あはっ…私、何泣いてるんだろ…」
瑠奈は涙だらけの顔を無理に笑わせた。
「あんまりびっくりさせるなよ。」
隼人も笑顔で瑠奈の頭を撫でる。
「お兄ちゃんの優しさは、いつでも本物だもんね。ごめんね?疑ったりしてて…」
隼人は瑠奈の頬に流れる涙を指で拭った。
「瑠奈…素直でいい子に育ったね。お兄ちゃんの育て方、間違ってなかった。」
「もうー!すぐそうやって子供扱いするー!」
兄妹は弾けるように笑った。
瑠奈が遊びに来る度にこのような笑いが起こってきたが、今日はこれが初めてだった。
「でも、ほんとにそうかも。」
瑠奈が言った。
「お兄ちゃんは、小さい頃から私のこと、いつも側で守ってくれた。」
「父さんも母さんも留守がちだったからね…俺が側にいてあげないとさ。」
「うん。ほんとに…お兄ちゃんが親代わりみたいだったもんね…」−−−
「じゃあ、行ってくるよ。隼人、瑠奈の面倒、頼むぞ。」
「うん!大丈夫だよ!」
「瑠奈、お兄ちゃんの言うことよく聞いて、迷惑かけないようにね。」
「はーい!行ってらっしゃい!」
両親はいつも隼人達より早く出かけた。
当初は子供二人で留守番させるのが不安だったようだが、兄妹は力を合わせ、助け合って留守を守った。
両親にもそれは認められ、安心して留守を任せるようになった。
小さい頃から瑠奈は、泣き虫で、甘えん坊で、いつも隼人と一緒にいたがった。
何でも隼人のすることを真似したがる。隼人の後をついて来たがる。
そんな瑠奈に、隼人は一心に愛情を傾けた。
瑠奈が困っていれば手を差し延べた。宿題に手こずっていれば、優しく分かるように教えた。
急な発熱の時はすぐ親に連絡し、帰ってくるまで付きっきりで看病した。
ただ甘やかすだけではない。瑠奈が間違いを犯せば、厳しく叱った。もちろんその後のケアも欠かさなかった。
瑠奈にはいい子に育って欲しかったから、隼人はただ甘やかすばかりではない、真の愛情を持って瑠奈に接していた。
瑠奈もそんな隼人に全幅の信頼を置き、心から慕っていた。
互いに支えあって来たからこそ、親がそばにいなくても、兄妹は真っ直ぐに育ってきたのだ。
続く
瑠奈は涙だらけの顔を無理に笑わせた。
「あんまりびっくりさせるなよ。」
隼人も笑顔で瑠奈の頭を撫でる。
「お兄ちゃんの優しさは、いつでも本物だもんね。ごめんね?疑ったりしてて…」
隼人は瑠奈の頬に流れる涙を指で拭った。
「瑠奈…素直でいい子に育ったね。お兄ちゃんの育て方、間違ってなかった。」
「もうー!すぐそうやって子供扱いするー!」
兄妹は弾けるように笑った。
瑠奈が遊びに来る度にこのような笑いが起こってきたが、今日はこれが初めてだった。
「でも、ほんとにそうかも。」
瑠奈が言った。
「お兄ちゃんは、小さい頃から私のこと、いつも側で守ってくれた。」
「父さんも母さんも留守がちだったからね…俺が側にいてあげないとさ。」
「うん。ほんとに…お兄ちゃんが親代わりみたいだったもんね…」−−−
「じゃあ、行ってくるよ。隼人、瑠奈の面倒、頼むぞ。」
「うん!大丈夫だよ!」
「瑠奈、お兄ちゃんの言うことよく聞いて、迷惑かけないようにね。」
「はーい!行ってらっしゃい!」
両親はいつも隼人達より早く出かけた。
当初は子供二人で留守番させるのが不安だったようだが、兄妹は力を合わせ、助け合って留守を守った。
両親にもそれは認められ、安心して留守を任せるようになった。
小さい頃から瑠奈は、泣き虫で、甘えん坊で、いつも隼人と一緒にいたがった。
何でも隼人のすることを真似したがる。隼人の後をついて来たがる。
そんな瑠奈に、隼人は一心に愛情を傾けた。
瑠奈が困っていれば手を差し延べた。宿題に手こずっていれば、優しく分かるように教えた。
急な発熱の時はすぐ親に連絡し、帰ってくるまで付きっきりで看病した。
ただ甘やかすだけではない。瑠奈が間違いを犯せば、厳しく叱った。もちろんその後のケアも欠かさなかった。
瑠奈にはいい子に育って欲しかったから、隼人はただ甘やかすばかりではない、真の愛情を持って瑠奈に接していた。
瑠奈もそんな隼人に全幅の信頼を置き、心から慕っていた。
互いに支えあって来たからこそ、親がそばにいなくても、兄妹は真っ直ぐに育ってきたのだ。
続く
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