かけがえのないもの 17
「瑠奈…死んじゃったの…?ほんとに…」
「うん…できれば…もっともっとやりたいこと、あったんだけどね…お父さんとお母さんにも、ありがとうって言いたかったけど…時間、少な過ぎるんだよね。」
瑠奈は隼人の顔を両手で包んだ。
「でもね…私、今すごく幸せだよ。お兄ちゃんと、思い出共有できたもん。お兄ちゃんが、私の事ほんとに大切にしてくれてるって分かったんだもん。あー…お兄ちゃんの妹で良かった。」
「瑠奈…お兄ちゃんも、瑠奈が妹で良かったよ…」
隼人は瑠奈をしっかりと抱きしめた。
「でもね、お兄ちゃん…私、もっとやりたいことあったんだ…私…お兄ちゃんと…」
瑠奈は次の言葉を口にしかけたが、途中で躊躇った。
「ううん。やっぱりなんでもない。恥ずかしいや。」
「なんだよ…」
隼人は寂しげに微笑んだ。肝心な時に素直になれない。俺はやっぱり瑠奈と兄妹なんだな、と思う。
「お兄ちゃん…」
「どうした?瑠奈…」
「そろそろ…バイバイの時間になっちゃうみたい…」
見ると、瑠奈の体が少し透き通っていた。隼人は震えが止まらなかった。
瑠奈が消えてしまう…もう、会えなくなってしまう…
「瑠奈…」
隼人のあまりに悲しげな顔を見て、瑠奈は笑った。
「もうー!そんな顔しないの!…これからだって…ずっと側にいるんだから…」
「え…?」
徐々に透き通りながら瑠奈は微笑んだ。
「お兄ちゃん…いつも私のこと、気にかけてくれた。守ってくれた。だから今度は、私がお兄ちゃんのこと、守る番だよ。」
「俺を…守る?」
「うん!お兄ちゃんがこれからも元気で、大活躍出来るように。」
隼人の腕の中で、瑠奈は輝いているように見えた。
「壁にぶち当たったら、乗り越えられるように手助けしてあげる。疲れたり落ち込んだりしてたら、夢の中に出てきて励ましてあげる。」
隼人はさらに強く瑠奈を抱きしめた。
半透明なはずなのに、瑠奈の温もりが、確かに感じられた。
「瑠奈…ありがとう…本当に…」
「お兄ちゃん…力強すぎるよ…あはは」
瑠奈が見せた笑顔は、今までで一番素敵なものに思えた。
続く
「うん…できれば…もっともっとやりたいこと、あったんだけどね…お父さんとお母さんにも、ありがとうって言いたかったけど…時間、少な過ぎるんだよね。」
瑠奈は隼人の顔を両手で包んだ。
「でもね…私、今すごく幸せだよ。お兄ちゃんと、思い出共有できたもん。お兄ちゃんが、私の事ほんとに大切にしてくれてるって分かったんだもん。あー…お兄ちゃんの妹で良かった。」
「瑠奈…お兄ちゃんも、瑠奈が妹で良かったよ…」
隼人は瑠奈をしっかりと抱きしめた。
「でもね、お兄ちゃん…私、もっとやりたいことあったんだ…私…お兄ちゃんと…」
瑠奈は次の言葉を口にしかけたが、途中で躊躇った。
「ううん。やっぱりなんでもない。恥ずかしいや。」
「なんだよ…」
隼人は寂しげに微笑んだ。肝心な時に素直になれない。俺はやっぱり瑠奈と兄妹なんだな、と思う。
「お兄ちゃん…」
「どうした?瑠奈…」
「そろそろ…バイバイの時間になっちゃうみたい…」
見ると、瑠奈の体が少し透き通っていた。隼人は震えが止まらなかった。
瑠奈が消えてしまう…もう、会えなくなってしまう…
「瑠奈…」
隼人のあまりに悲しげな顔を見て、瑠奈は笑った。
「もうー!そんな顔しないの!…これからだって…ずっと側にいるんだから…」
「え…?」
徐々に透き通りながら瑠奈は微笑んだ。
「お兄ちゃん…いつも私のこと、気にかけてくれた。守ってくれた。だから今度は、私がお兄ちゃんのこと、守る番だよ。」
「俺を…守る?」
「うん!お兄ちゃんがこれからも元気で、大活躍出来るように。」
隼人の腕の中で、瑠奈は輝いているように見えた。
「壁にぶち当たったら、乗り越えられるように手助けしてあげる。疲れたり落ち込んだりしてたら、夢の中に出てきて励ましてあげる。」
隼人はさらに強く瑠奈を抱きしめた。
半透明なはずなのに、瑠奈の温もりが、確かに感じられた。
「瑠奈…ありがとう…本当に…」
「お兄ちゃん…力強すぎるよ…あはは」
瑠奈が見せた笑顔は、今までで一番素敵なものに思えた。
続く
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