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かけがえのないもの エピローグ −瑠奈の想い−

[486]  デフレーター  2010-06-27投稿
「お兄ちゃん…泣きすぎだよ…」

ひまわりが一面に咲き誇る天国から、瑠奈は隼人の様子を見て可笑しそうに微笑んだ。

「あ…キスされちゃった。」

前夜に自分も隼人にしたことだったが、瑠奈は急に恥ずかしくなった。

「お兄ちゃんたら…お父さんもお母さんも見てるのに…」

「瑠奈は…本当に愛されていたようだな。」

瑠奈は声のする方に顔を向けた。

「おじいちゃん!」

声の主は祖父だった。祖父はにっこり微笑んで瑠奈の横に並んだ。

「隼人は瑠奈を一心に愛し、瑠奈も隼人を心から慕った…お前たちは本当にいい兄妹だよ」

「ありがとう、おじいちゃん。」

瑠奈は嬉しそうに笑う。

「でもね、私、今度生まれ変わったら、できれば兄妹じゃなくてね…」

そう言って瑠奈は口をつぐんだ。

「やっぱり…恥ずかしいな。」

「うんうん。瑠奈の気持ちはよく分かる。」

祖父は瑠奈の頭を撫でた。

「おじいちゃん…」

「だが…まだその時ではないな…隼人はこれから、瑠奈の死を乗り越えて、一生懸命生きて行かなければならんのだから…」

隼人が瑠奈の頭を抱き寄せる光景を見下ろしながら、祖父は言った。

「思いつづければ、いつの日か必ず叶う。だから今は…隼人をしっかり支えておやり。」

「…うん!私、約束したもん!お兄ちゃんが困ってるときは、助けるって!」

「よしよし。それでいい。」

祖父は満足げに頷いた。

「では…わしはちょっと散歩に行ってくるよ。」

「うん!おじいちゃんありがとう!」

歩き去る祖父を見送ると、瑠奈は下の世界を見た。

隼人は泣き疲れたのか、瑠奈の側で眠っていた。

それを見て、瑠奈はくすっと笑った。

「早速出番だね…お兄ちゃん。」

そう言って、隼人の夢の中へ入る準備をする。

お兄ちゃん…例え見えなくても…触れ合えなくても…瑠奈はいつだってお兄ちゃんの側にいるよ。

会いたくなったら、いつだって会えるんだよ…

お兄ちゃんのこと、誰よりも応援してる。

だってお兄ちゃんは、瑠奈の…

瑠奈の、一番大好きな人だから…!

だから…これからも頑張ってね!お兄ちゃん!

そして…生まれ変わったら…


最終話へ続く

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