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The Last Escape 4

[336]  エアロ  2010-06-27投稿
「何をした、だぁ!?
あんな大それた事しておいて、何を今更!!」
「あんたを警察に引き渡すとなぁ、大金が手に入るんだよ!」
新たにこちらに近づいて来た、二人のうちの、
一人も言った。

「大金!?どういう事…
そんな…まさか!!」
お尋ね者、ってこと!?

「なぁ、それよりこいつ、
けっこう可愛い顔してんじゃん。」
酒臭い息を吹き掛けながら、右側の男が言う。
「どうだ?警察に引き渡す前にさぁ…」

戦慄が走った。
三人は、血走った目で私を見て、にやついている。

「いや…嫌ぁ…
やめてぇ!放してよ!!」
だが、いくら暴れたところで、屈強なその腕から逃れることは不可能だった。

私は冷たいコンクリートの上に簡単に寝かされ、
馬乗りされた。
涙がこぼれそうになり、私は目を閉じた。

男の身体が覆い被さってくるのを感じる。

私の頬を、涙が伝った。


だが、しばらくしても、男はそのまま、何の動きも見せなかった。

どういう事…?
私が目を開くと、そいつが気を失って倒れている姿を見る事が出来た。

「…!?」
「お、お前は…」
残り二人がそう言いながら見た方向を見上げてみた。

長い黒髪、頬の傷。

彼は一人の襟を掴んでもう一人に投げつけた!

二人は近くの壁にぶつかり、気を失ったらしかった。

が、周りに人だかりが出来始めたらしい。
中には私たちを指差す人たちもいた。

「チッ」

彼は私の上で気を失った一人を蹴飛ばし、
私を抱えて近くの塀に飛び乗り、走り出した。


路地裏まで行くと、
彼は私を降ろした。

「あ、あの、…ありがとう…助けてくれて」

彼は私の方を見た。
私は今初めて、彼の姿を確認できた。

ジーンズにスニーカー、黒地に赤い袖のジャンパーに、フード付きのパーカー。

彼が稀代なほどの美男だという事も、その時わかった。

「いちいち、例を言う暇は無いぞ」
…? あ、そうか。
急いでるの、解っちゃったか。そう思っていた。
「そうだね、もう行かなきゃ」

だが、彼はそうさせてくれなかった。
歩き出そうとしたら、私は肩を掴まれた。

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