欲望という名のゲーム?27
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「ここがこの屋敷の中央広間になります。
一般的にホールと呼ばれる場所です」
鹿島が説明を始めた。
まるで博物館を見学する小団体と、それを引率する係員のようだ。
「あちらが正面入り口、そしてこちらを中央階段と呼んでいます。
彼はいちいち手で示しながら説明を加える。
「この一階には、先ほどの食堂のほかに、応接室と図書室があります。
まず応接室からご案内いたします。
こちらへ」
鹿島は中央階段に向かって右側の、二つのドアの内の奥のドアへと進んだ。
手前のドアは食堂の入り口だ。
応接室と聞いて、応接間を想像していた五人は、その広さと造りにいささか驚いた。
右側の壁沿いにカウンターと椅子が、その奥には個人部屋よりも豊富な酒の瓶が、ほとんど壁全体を埋め尽くすように並べられている。
厚手のペルシャ絨毯の上には、ゆったりとした作りのソファーが何組もあった。
どちらかといえば、応接室というよりは、高級クラブのような雰囲気を持った部屋だった。
ただひとつ、この部屋に場違いな物がある。
ドアに掛かっている冷たい金属製の雅則の笑顔だ。
「ここは応接室という事になっていますが、私はむしろ談話室と呼んだほうが適切な気がします」
鹿島はそんな説明を加えた。
五人はしばらく部屋を歩き回っていたが、
「次に行きましょう」
と言った深雪の一言を合図に応接室を出た。
見事な大理石が市松模様になっているホールを横切り、食堂の真向かいのドアに進む。
こちら側はドアがひとつしかない。
「こちらが図書室です」
中に入った途端に、
「すごい!」
と孝子が声を上げた。
部屋全体の広さは、食堂と応接室を合わせたよりも、まだ大きかった。
その広いスペースの中に、本が詰まった本棚が、ぎっしりと並んでいる。
そして奥の窓寄りに、いくつかの机と椅子がある。
「これ、私の通ってた学校の図書室より大きいんじゃないかしら」
友子が呆れたように言う。
「雅則様の本は非常に偏っています。
こちらにあります本の七割は、ゲームに関するものばかりです」
鹿島がドアに寄りかかりながら言う。
その鹿島の後ろにも、例の黒い金属製の笑顔がある。
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