『クライアナノナカ』 の真相 〜10〜
最後の
『クライアナノナカ』
が終わり、
訪れた新たな展開。
それは『ディナー』との、直接コンタクト。
それは私にとって
『クライアナ』
なのか、それとも
『アカルイデグチ』
なのか。
私は、まだ見ぬ
標的を想定し、様々な
仕掛けを事前に施す事
にした。
意外にも、『ディナー』
は時間も場所も
こちらに任せると
言ってきた。
ならば、こちらはそれを
最大限利用する。
彼が凡人なのか、
策士なのかはまだ
分からないからだ。
綿密に戦略を練り上げ、
私は彼をとあるバーに
呼び出した。
彼は、時間通りに現れた。
膝が隠れる長さの、
黒いロングジャケットに、
ミスマッチを
感じさせない黒の
バーズアイガスケットを
目深に被り、表情は
よく分からない。
ナローシルエットの
黒いサルエルパンツは、
本来のイメージの
民族的…というよりは
ロックテイストの印象。
腰周りは、
ヌバックレザーの
サイドバッグに、
レザーウォレットロープ
などで武装されている。
威圧感は確かにあるし、
ミステリアスな出で立ち
ではあるが、
不思議とそれに
引き込まれる。
全身黒ずくめの
鴉のような青年は、
しかし口調はしっかりと
していた。
「こんにちは。
ヤルンヴィドの番犬さん
…ですよね」
「長いハンドルネームで
すまないな。
番犬、で構わないよ」
造り笑う私よりも
自然に、彼は笑う。
「じゃあ、番犬さんで。
俺がディナーです。
…座っても?」
「…あぁ、気付かずに
すまない」
「いえ、気になさらず。
…失礼します」
細い躯が、椅子と
テーブルの間に滑り込む。
私の前に、闇が訪れた
のだ。
ついに、闘いの刻が
来たのだ。
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