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朱い月、白い太陽 3

[165]  砂波  2010-07-03投稿
機械人形が創られたのは、遥か昔。東方のある海に浮かぶ小さな島国だったそうだ。
核兵器を持たない、平和主義を掲げたその国が、第三世界大戦に『死なない』兵士として造り出したのが機械人形の始まり。

戦闘用として生まれた感情のない兵士たちは、恐怖やモラル、その他の感傷に捕われることなく、壊れるまで闘った。

痛みも感情もない彼ら。
けれど、その島国が大戦に勝利する訳もなく。

敗れたのちその素晴らしい技術力を買われ、ある大国の胃袋に飲まれてからは、ただその名前と文化の名残が、細々と息づくのみとなった。

日ノ本の国、緋出る国…。

『…朱緋様、朱緋様。センターからお電話です。ギーリア大神国のアリア大使です。』

私はドアを叩き、主を呼んだ。『センター』とは、今やあの大国に統一されたかつての国々の名残を留める国家機関。

そのかつて国々の文化を護ろうとする機関である。

朱緋様の不機嫌な声が聞こえた。

「うるさい。…俺はいないと言っておけ」

何を言っているんだ。万年引きこもりの癖に。

『朱緋様。もうモニターにアリア大使がいらっしゃるんです。こないだの会議もサボったでしょう?報告くらい聞いて下さい。』

「…どうせ奴ら、『核』の技術を寄越せとでも言っているんだろ。最近じゃどの国も喉から手が出る欲しがってるからな」

『核』…私達機械人形のコア。それを造り出せる技術は、今でもこの国にしかない。

それが一体どういう技術なのか…。機械人形である私にも分からない。

その秘密は代々、朱神一族に言伝に伝えられ、文面には一切残っていない。この秘密はけして誰にも話してはならない。例えそれが肉親でも。秘密は朱神誠意継承者にのみ受け継がれ、その秘伝の技は次の朱神継承者にしか伝わることがない。

しゃべることを強要され拷問されても、死ぬまで話さない。

先代のマスターは、自らを植物状態にすることで秘密と朱緋様を護った。

朱緋様は、秘密を知るただ一人の朱神。それがある限り、誰も彼を殺すことができない。

『…室内モニターに接続します。ちゃんと聞いて下さいよ』

私はそう言って部屋にモニターを出した。

わずかなノイズの後に、いささか脳天気なかわいらしい声が響く。

『へろ〜。引きこもり〜』

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