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『クライアナノナカ』 の真相 〜12〜

[607]  ヤルンヴィドの番犬  2010-07-03投稿

私は驚いた。

ディナーが、仮に
行方不明事件について
知っている、
或いは後ろめたい事
があるのなら、
こうも簡単に
『切り札』
である携帯を見せない
はずだ。



どういう事だ?




それを見透かしているか
のような、ディナーの
笑み。

惑わされて行く私を
嘲笑っているのか?


彼を罠に嵌めるつもりが、
いつの間にか私が
術中にはまっている。




このままでは、まずい。




「…気になりますか…?」

「…何?」

「…携帯ですよ。
さっきからずっと見てるから」


ディナーはどうする
つもりなんだ?

彼が、私を嵌めても
利益は何もない。

何もメリットなど
ないはずなのだ。













    いや。













私を、犠牲者に
するつもりなのか?


八人目の、犠牲者に。



彼がもし、私の仮定通り
の人物なら、
理性も駆け引きもない。

ただ、狂っているだけだ。

愉悦を求めるだけの、
狂人なのだ。



文字通り、私は
彼の『ディナー』
なのか。

…晩餐、なのか。


やはり。


『クライアナノナカ』
に、私は陥っているのか…。




そうならば、手段は
選んでいられない。

こちらも、自己防衛を
せねばならない。

そのために、色々と
策を張り巡らしたのだ。









思い直せ。





これは闘いだ。




そして今、チャンスが
訪れているのだ。

この時を逃す手はない。













私は、『ジョーカー』
を切った。






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