欲望という名のゲーム?36
明彦はボードゲームのある三階の三号室にいた。
何列もの棚に、隙間なくゲームが並べられている。
この中に、猫に関係したゲームがあるのではないか?
あるいは、ずばり『パブロ』という名のゲームがあるのではないか?
彼はそう考えていた。
膨大な量のゲームだった。
しかも半数近くは輸入品らしく、日本語の説明書も付いていない物がざらだった。
そのひとつひとつを、彼は丹念に見て回った。
そして、この部屋のゲームを全て見終え、四号室のコンピューターゲームの部屋に移動する頃には、すでに昼食時を過ぎていた。
「ちくしょう、飯は抜きか…」
そう口の中で言い、今度はコンピューターゲームを調べ始めた。
二階の自室に戻った喜久雄と友子は、なにやら相談をしていた。
「いいか、僕達は二人だから、俄然有利なはずだ。
二人分の知恵を出し合える。
ちょっとでも気が付いた事があったら僕に言え。
僕もそうする」
「そうね、二人だから絶対負けないわよ!
二百八十億円は、私達で絶対に見付けましょうね」
「だが油断はできない。
だからここは、二人組の利点を最大限に活用しよう」
「いったい、どうするの?」
「奴らを見張るんだよ。
二十四時間ずっとだ。
僕は昼間に寝る事にする。
お前は夜に寝ろ。
そして僕が寝ている間に、少しでも奴らがおかしな動きをしたら、すぐに知らせてくれ。
お前が寝ている夜には、僕が見張る。
場合によったら、奴らの動きをキャッチして、先回りする事が出来るかもしれないからな」
「分かったわ。
なにせ二百八十億円ですものね。
一週間くらい徹夜したって平気よ。
私、がんばるわ」
「よし、さっそく三人の居場所を確かめよう。
その前に聞いておきたい事があるんだが…」
「何よ?」
「ミケ猫って、何だ?」
「やぁねぇ、三毛猫も知らないの?」
友子は頼りないパートナーに、不安を覚えた。
「僕の知ってる猫の種類は、ひとつしかない」
「なぁに?」
「化け猫」
呆れて、笑う気にもなれない。
「三毛猫っていうのはね。
三種類の毛の猫って書くのよ。
三の毛の猫」
友子は指で書いてみせる。
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