タブー?
小さな島と言いましたが、いざ上陸してみると結構広くて、でかい森が私達を出迎えました。
今思うと、奇妙な森だったかもしれません。
森中に漂う熱気…。
自生している熱帯風の木々…まるで別の世界のようでした。
どんどん進むうちに木々の葉で日光は隠され、暗い獣道が続きました。
どのくらい歩いたのか覚えていませんが、不意に日光が私達を照らしました。
そこは丁度森の真ん中で、そこだけくり貫かれたように太陽に照らされていました。
ホッとしたのも束の間、友達の一人が奇妙な物を見つけました。
遺跡…とでも言うんですかねぇ。
石造りの奇妙な形をした建造物がそこに並んでいたのです。
不気味に思いながらもそれに近づこうとしたその時です。
最初の異変が起きたのは…。
まず最初に感じたのは臭いでした。
えぇ…胃袋がひっくり返るような悪臭が周囲に立ち込めて、ふと木を見上げると奇妙なモノが居ました。
はっきり見えたワケじゃありません…でも確かに居たんです。
木の上からこう…覗き込むように。
そして、鳴き声。
動物の物じゃありません…それどころかどんな動物でもあんな鳴き声はしないでしょう。
甲高く、くぐもった…人間の悲鳴に近い鳴き声が響きました。
私達は耐えきれずに一目散に逃げ出しました。
不思議な事に、あれだけ長く感じた森をあっという間に抜けて、私達は船を出して、全力で島から離れました。
でもね、私見たんです…こっそり後ろを。
今でも忘れません。
丸い毛玉みたいな顔から生えた長くて細い手と足…。
顔の半分を占めた真っ赤な眼が、こっちをずっと見ていたのを。
《続》
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