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欲望という名のゲーム?44

[381]  矢口 沙緒  2010-07-08投稿



「そうなのか、鹿島?」
「私はあの猫の名前の由来は、知らないのです。
ですが、今の孝子様のお話を聞いていて、十分に考えられる可能性だと思います」
「ねぇ、孝子さん。
この食堂にピカソの絵はあるの?」
友子が食堂に掛けられた絵を見回しながら聞く。
「そうねぇ、ここにはないわね」
「よし、ホールに行く。
孝子、お前も一緒に来てくれ」
そう言い残して、明彦が食堂を出た。
「僕達も行ったほうがよさそうだ。
鹿島さん、あなたにも来てもらいたい」
全員の見守るなかで、孝子はホールの絵を一枚一枚見て回った。
「このホールにも、ピカソの絵はないわね」
皆の期待とは裏腹に、孝子の答えは、呆気ないものだった。
「鹿島さん、絵が飾ってある所は、ほかにどこがある?」
喜久雄はこのために、鹿島の同行を求めたのだった。
「そうですねぇ…
図書室と応接室、それから二階の廊下と三階の廊下。
あとは三階の各部屋にもあったような…」
「あっ、雅則兄さんの部屋にもあった!」
友子が思い出す。
「なんだ、結局全部じゃないか」
一同はぞろぞろと列を作り、屋敷中を見て歩く事になった。
絵の知識がある者が孝子しかいないため、彼女は渋々協力した。
一階、二階、そして三階の廊下と各部屋を見て回り、残るは雅則の自室だけとなった。
そこにはリビングルームと書斎に、一枚づつの絵があった。
孝子が鑑定する。
「これも違うわね。
残念だけど」
「間違いないか?」
「間違いないわ。
今見た中に、ピカソの絵はないわね。
絵っていうのはね、たとえ模写でも、本来それを書いた画家のサインが入っているものなのよ。
サインも絵の一部だから」
「ということは、孝子の当てずっぽうが外れたって事よね」
深雪が言った。

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