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世紀末戦記 9

[310]  カザン  2010-07-08投稿
キーオーは叔父さんを止めよう声を出した。だが声は叔父さんには聞こえなかった。
キーオーは声を出していた。彼が口から言葉を出した瞬間に、爆音が響いたのだ。その音は雷ではなかった。そして一時の間雨が降り止んだ。
再び雨が降り始めた時、叔父さんが振り向いた。
「まずい!!」
キーオーは何がなんだか分からなかった。
叔父さんがバックから剣を取り出したのが分かった。優しい叔父さんの目が変わったのが分かった。雨の強さが変わったのが分かった。
だがキーオーは一瞬の変化に遅れ、時の流れに取り残されたかのように立ち尽くしていた。
叔父さんはキーオーの横を過ぎ去り、一直線に村へと向かった。

大地が揺れた。キーオーはやっと時の流れに追い付いた。そして叔父さんを追いかけた。それしか出来なかった。
林を抜けると地震の理由が分かった。
村にある家の何倍もある戦艦が小麦畑を踏み潰していた。
戦艦には連邦の旗がかかっていた。
連邦の兵士達が何人も村に降りている。村の長老である老婆が殴られたのが見えた。
(やめろ…)
キーオーはその間も走り続けたが村はまだまだ先だった。
老婆を助けた村人が見えた。それはセイルだった。
(でかしたぞセイル)
キーオーは小麦畑を急いだ。何とかしなきゃみんなが危ない。村を守らなければ。
だがもう遅すぎた。

銃声が響いた。
撃たれたのはセイルだった。親友の頭から血が吹き出したのが見えた。悲鳴が聞こえたが銃声は止まなかった。
セイルの後は老婆を、その後は羊飼いのグラニスを、そして村人達を連邦は次々に惨殺していった。
信じられなかった。
訳が分からなかった。
だか走り続けた。

叔父さんは剣を抜き、小川の橋を渡り村へと向かった。キーオーは叔父さんに追い付き橋を渡ろうとした瞬間、橋が崩れた。
彼は雨水で波乱した小川の水に飲まれた。叔父さんは振り返らなかった。彼が後から付いてきた事すら気づかなかったのだろう。
泥水が口に入った。
体が何回も何回も回転した。
深い闇の中へ落ちていった。だがそれは死ではなく長い夢の始まりの様だった。

第一章 完
第二章へ続く…

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