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チンゲンサイ。<47>

[415]  麻呂  2010-07-14投稿

ユキエを職場まで送り届けた後、帰宅すると、


リョウは、すでに学校へ行ったらしく、ユウは、リビングのソファ―に座り、


テレビを見ていた。


『ユウ。昨日の傷は傷むか!?』



当たり前だろうが、本日初の親子の会話は、やはりここから始まる。



『うん。昨日より腫れてる気がする。

それより親父、母さんと学校へ行って何を話して来たの!?』



必ず聞かれるとは思っていた。


ユウ自身、昨日の俺とユキエの会話の内容から、おおよその見当はついているはずだ。



『お前の担任の本橋とクラスメイト全員に会って来た。』



『…………。』



ユウは、俺の顔をマジマジと見つめ、何か言いたげな表情をして見せたが、


次に口を開いたのは、俺の方が先だった。



『母さんがな‥‥あのおとなしい母さんが、お前のクラスメイト全員の前で話したんだ。

内容は、お前があのクラスの連中からイジメを受けている事についてを、

ストレートに述べるものではなく、間接的に話してはいたが、

あのクラス全体がイジメの当事者であると知った以上、

母さんが話した事は間違いではないと思っている。

あのクラスの連中がバカでない限り、俺達が、あの場を借りてまでして、

何を言いたかったのかという事は、理解出来ると思う。』



ユキエが言わなくても俺が言っていた。

その時点で、少なくとも俺達夫婦は、意見が一致していた。


『‥‥マジかよ‥‥‥。俺、もう学校行けね―よ‥‥‥。』


『ユウ。

父さんと母さんが今日、学校へ行った事によって、

お前が学校へ行きにくくなったという事については、

申し訳ないと思っているが、

お前の親として、父さんも母さんも、どんな事をしてでもお前を守る。

それだけの覚悟をしてとった行動だという事は分かってほしい。』



一言つぶやくように、ユウが漏らした言葉に対し、


俺が返した言葉は、おそらく、昨日までの俺とは違うものになっていただろう。

あからさまに否定をするだけの。


子供にとっては、はた迷惑な言葉とは違うものに。

感想

  • 39182: 真剣で一生懸命って尊いことと思います!さんちゃん [2011-01-16]
  • 39195: 不器用な太郎の一生懸命さが伝わって嬉しいです!!?麻呂 [2011-01-16]

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