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代償 2

[842]  デフレーター  2010-07-15投稿
中でも一番深く落ち込んでしまったのは、川上清香。
清香は篤史の幼なじみで、高校に入ってからも清香は篤史と一番仲が良かった。
「私が…あんなことしなければ…」
涙ぐむ清香を一晃が励ました。
「違うよ。…清香だけのせいじゃない…あれは、皆が悪いんだ。俺も…」
さらに重苦しい空気が教室を支配する。
「そうだよな…このクラスのチームワークが…完全に裏目に出た…」
「篤史だって怒ってるよね…」
清香はついに顔を手で覆って泣きはじめた。
杉本はそんな生徒たちの様子を黙って見守っていたが、大きくため息をつき、呼び掛けた。
「先生は…このクラスの結束力が何よりの自慢だった…お前らは皆輝いてた…全体の雰囲気ばかり重視して、一人一人を見るということを忘れてしまっていたのかもしれない…一番悪いのは…先生なんだ…」
杉本の痛切な言葉を、生徒たちは真剣に聞いていた。
「先生…」
一晃が口を開いた。
「誰が悪いとか、悪くないとか、そんな事をいつまでも言ってても、仕方ないと思います。まずは篤史にしっかり謝って…卒業式、一緒に参加しようって呼び掛けましょう。」
その言葉に生徒たちも頷いた。
「…そうだな。一晃、ありがとうな…」
杉本も目に浮かんだ涙を拭う。
「清香、もうそんなに泣かないで。」
「清香の気持ち分かるよ…でも、前に進まなきゃ…」
「でも…私…」
清香の落ち込みようは普通ではなかった。
自分のせいで篤史が来なくなった。
清香はずっと罪の意識に苛まれてきた。

それは、大学受験を一ヶ月前に控えたある日のことだった。
清香は有名私立大学への入学を目指して勉強を続けていたが、なかなか思うように実力が上がらなかった。
志望校一本にしぼっていた清香は、プレッシャーとストレスで非常に悩んでいた。
そんな時、清香に励ましの言葉をかけたのが、篤史だった。


続く

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