走れ! 2
好きな女子の話とか。
いまハマってるゲームとか漫画とか。
親の悪口とか担任の悪口とか模試の結果とか。
全てが豪雨に流されて、僕らは座り込んでいた。
川から離れる為に闇雲に逃げたから公道がまず見つからない。
どしゃ降りから細い雨に変わったところで見通しは最悪で、僕は初めて本当の暗闇を知った。
Gショックで照らされた時間は21時。
こんな時間でも歩けないくらい闇は深い。
僕らは身を寄せあって座り込むことしか出来なかった
パーカーはずぶ濡れだし全てが水分で重たくなっていて、震えが来るほど寒い。
聴こえるのはカスタネットみたいにカチカチなる歯の音と風の音くらいだ。
これ以上悪くなることはない。
…少なくともそう思っていた。
このときは、まだ。
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