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代償 3

[732]  デフレーター  2010-07-16投稿
篤史は、放課後一人俯きながら歩いている清香を見かけ、早足で追いついて並んで歩いた。
「清香どうした?…ここんとこずっと元気ないじゃん」
「篤史…」
清香は泣きそうな表情で篤史を見た。
「あ、受験のことだろ?」
篤史はとりなすように笑いながら清香の顔を覗き込んだ。
「うん。…私、滑り止め受けないで有名私立一本だから…でも全然学力伸びないんだ…この前のテストも合格ライン届かなかったし…」
「ふーん…」
篤史は歩きながらしばらく考えていたが、相変わらずのお気楽なテンションで清香に言った。
「ま、なんとかなるさ。」
「でも…」
「清香今まで頑張ってきたんだろ?手抜いたわけじゃないんだろ?」
「そうだけど…このままじゃ不安だよ…」
「まあ分かるけどさ。不安払拭するには努力し続けるしかないじゃん。」
篤史は清香の方を見て励まし続けた。
「篤史…」
「清香すごいと思うよ。逃げ道自分からなくして勝負するんだから。俺にはとてもできねーよ。」
「そう…かな…」
「だから、自信もっていいんじゃねーの?やればできるってさ。」
篤史は爽やかな笑顔を清香に向けた。
「やる前から諦めてたら、もったいないもんな。」
「ありがとう、篤史…」
清香はそう言うと、急に泣き出してしまった。
「き、清香…何泣いてんだよ…」
篤史は慌てて清香の肩を抱き寄せた。
「篤史すごく優しいよね…」
「あ、ああ…ほら、幼なじみが困ってるわけだしさ、そのー…落ち込んだ時は励ましてやんないと。」
「ありがとう、篤史…」
清香は声を上げて泣いていた。

ちょうどその時、下校中だった杉本組の佐藤恵梨が、その様子を目撃してしまった。
恵梨はちょうど清香が泣きはじめた所を見た。
そして、慌てた様子で携帯を取り出し、クラスの女子数人にメールを送った。
「篤史が清香を泣かせてる」と…

「やっぱ一番悪いの私だよ…事情しらないであんなメール送っちゃって…」
恵梨は泣いていた。
「だからさ…誰が悪いとか、そんなこと言ってる場合じゃないじゃん。」
「…ほんとに…最低なことしちゃった…」

クラスメートの言葉も、恵梨には届いていない様子だった。


続く

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