代償 8
杉本組の面々は、直接篤史の家に謝りに行った。
全員で行くと迷惑がかかるので、杉本をはじめ学級委員の一晃、
メールを送って騒動を起こした恵梨、
篤史から励ましを受けた清香の4人が行くことになった。
一同は神妙な面持ちのまま篤史の家のドアの前に立ち、インターホンを押した。
「はーい。」
中から女性の声がした。篤史の母親だ。
「篤史君の担任の杉本です。本日は…謝罪にあがりました。」
中からドアが開かれる。
杉本たちは深々と頭を下げた。
「この度は、本当に申し訳ありませんでした…」
母親は少し困惑した様子だった。
「事情は…篤史から聞いています…篤史は、誰にも会いたくないと…」
その言葉に一同は失望の表情を浮かべた。
「だめ…ですか?…僕達は、心から謝罪したいんです。」
「篤史を追いこんだのは私達だから…」
「篤史に会わせてください。そして、謝罪させてください!お願いします!」
生徒たちはもう一度頭を下げた。
母親はしばらく何も言わずに考え込んだ。
「…分かりました。今、篤史を呼んできますので…」
母親が篤史を呼びに2階へ向かう。
「やっぱり…篤史怒ってるな…」
「仕方ないですよ…」
「…篤史…」
篤史は誰にも会いたくないと言っている。
自分達が今までしてきたことの報いを、今更ながら実感していた。
しばらくして、母親に先導されるようにして篤史が下りてきた。
「篤史…」
「何しに来た。」
杉本達を見るなり、篤史は苛立たしげに言った。
両手をポケットに突っ込み、目は憎悪に満ちたようにギラギラしている。
その姿は、皆の記憶にある篤史とは全く違っていた。
「篤史…本当に…申し訳ない。」
杉本が一歩前に出て、頭を下げる。
「あ?」
「篤史…あの時、お前の話を聞かずに一方的に責めるようなことして…ごめん…」
「事情知らないくせに変な噂流してごめんなさい…」
「私は篤史に励ましてもらったのに…あんな最低なことしてごめんなさい…」
一晃、恵梨、清香も次々に謝罪する。
篤史はそんな面々を見下したような目で見た。
「篤史…許してくれとは言わない…ただ…けじめとして…謝罪させてほしい…私達がしたことは…篤史へのイジメに他ならない…だから…」
篤史は頭を下げる杉本に向かって冷たく言い放った。
続く
全員で行くと迷惑がかかるので、杉本をはじめ学級委員の一晃、
メールを送って騒動を起こした恵梨、
篤史から励ましを受けた清香の4人が行くことになった。
一同は神妙な面持ちのまま篤史の家のドアの前に立ち、インターホンを押した。
「はーい。」
中から女性の声がした。篤史の母親だ。
「篤史君の担任の杉本です。本日は…謝罪にあがりました。」
中からドアが開かれる。
杉本たちは深々と頭を下げた。
「この度は、本当に申し訳ありませんでした…」
母親は少し困惑した様子だった。
「事情は…篤史から聞いています…篤史は、誰にも会いたくないと…」
その言葉に一同は失望の表情を浮かべた。
「だめ…ですか?…僕達は、心から謝罪したいんです。」
「篤史を追いこんだのは私達だから…」
「篤史に会わせてください。そして、謝罪させてください!お願いします!」
生徒たちはもう一度頭を下げた。
母親はしばらく何も言わずに考え込んだ。
「…分かりました。今、篤史を呼んできますので…」
母親が篤史を呼びに2階へ向かう。
「やっぱり…篤史怒ってるな…」
「仕方ないですよ…」
「…篤史…」
篤史は誰にも会いたくないと言っている。
自分達が今までしてきたことの報いを、今更ながら実感していた。
しばらくして、母親に先導されるようにして篤史が下りてきた。
「篤史…」
「何しに来た。」
杉本達を見るなり、篤史は苛立たしげに言った。
両手をポケットに突っ込み、目は憎悪に満ちたようにギラギラしている。
その姿は、皆の記憶にある篤史とは全く違っていた。
「篤史…本当に…申し訳ない。」
杉本が一歩前に出て、頭を下げる。
「あ?」
「篤史…あの時、お前の話を聞かずに一方的に責めるようなことして…ごめん…」
「事情知らないくせに変な噂流してごめんなさい…」
「私は篤史に励ましてもらったのに…あんな最低なことしてごめんなさい…」
一晃、恵梨、清香も次々に謝罪する。
篤史はそんな面々を見下したような目で見た。
「篤史…許してくれとは言わない…ただ…けじめとして…謝罪させてほしい…私達がしたことは…篤史へのイジメに他ならない…だから…」
篤史は頭を下げる杉本に向かって冷たく言い放った。
続く
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