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代償 8

[727]  デフレーター  2010-07-17投稿
杉本組の面々は、直接篤史の家に謝りに行った。
全員で行くと迷惑がかかるので、杉本をはじめ学級委員の一晃、
メールを送って騒動を起こした恵梨、
篤史から励ましを受けた清香の4人が行くことになった。
一同は神妙な面持ちのまま篤史の家のドアの前に立ち、インターホンを押した。
「はーい。」
中から女性の声がした。篤史の母親だ。
「篤史君の担任の杉本です。本日は…謝罪にあがりました。」
中からドアが開かれる。
杉本たちは深々と頭を下げた。
「この度は、本当に申し訳ありませんでした…」
母親は少し困惑した様子だった。
「事情は…篤史から聞いています…篤史は、誰にも会いたくないと…」
その言葉に一同は失望の表情を浮かべた。
「だめ…ですか?…僕達は、心から謝罪したいんです。」
「篤史を追いこんだのは私達だから…」
「篤史に会わせてください。そして、謝罪させてください!お願いします!」
生徒たちはもう一度頭を下げた。
母親はしばらく何も言わずに考え込んだ。
「…分かりました。今、篤史を呼んできますので…」
母親が篤史を呼びに2階へ向かう。
「やっぱり…篤史怒ってるな…」
「仕方ないですよ…」
「…篤史…」
篤史は誰にも会いたくないと言っている。
自分達が今までしてきたことの報いを、今更ながら実感していた。

しばらくして、母親に先導されるようにして篤史が下りてきた。
「篤史…」
「何しに来た。」
杉本達を見るなり、篤史は苛立たしげに言った。
両手をポケットに突っ込み、目は憎悪に満ちたようにギラギラしている。
その姿は、皆の記憶にある篤史とは全く違っていた。
「篤史…本当に…申し訳ない。」
杉本が一歩前に出て、頭を下げる。
「あ?」
「篤史…あの時、お前の話を聞かずに一方的に責めるようなことして…ごめん…」
「事情知らないくせに変な噂流してごめんなさい…」
「私は篤史に励ましてもらったのに…あんな最低なことしてごめんなさい…」
一晃、恵梨、清香も次々に謝罪する。
篤史はそんな面々を見下したような目で見た。
「篤史…許してくれとは言わない…ただ…けじめとして…謝罪させてほしい…私達がしたことは…篤史へのイジメに他ならない…だから…」

篤史は頭を下げる杉本に向かって冷たく言い放った。


続く

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