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代償 9

[814]  デフレーター  2010-07-17投稿
「ふーん。それで?」
「…」
篤史の言葉に一同は思わず黙り込んだ。
「お前らそんなこと言いに来たわけ?」
「…卒業式、篤史にも来てほしいんだ。」
一晃が思い切って言った。
「は?バカじゃねーの?」
「あんなに酷いことしたのにこんなお願いして都合良すぎるのは分かってる。でも…篤史と一緒に卒業したい。」
「せめて卒業式だけは来て…お願い…」
恵梨と清香も懇願する。
篤史はそれを聞いて鼻で笑った。
「相変わらずどうしようもねークズばっかだな。おたくらのクラスは。」
「篤史…」
「バカが雁首揃えて押しかけて何の用かと思えば一緒に卒業しよう?笑わせんな。」
「篤史の気持ちは分かる…でも…このままではクラスの皆にモヤモヤが残るんだ…」
一晃は真剣に言った。
「知ったこっちゃねーよ。」
篤史の態度は全く変わらなかった。
「俺はもうあんたらのクラスメートじゃない。あんたらがモヤモヤしようと俺には何の関係もない。」
「なあ篤史…考えてくれないか…?皆、とても反省してるんだ。篤史の心を傷つけてしまったことは許されることではない。でも…篤史は皆の気持ちが分からない奴じゃなかったじゃないか…
誰よりも思いやりがあるからこそ、清香が感激するほど、優しく出来たんだろ…
私は…篤史が皆の気持ちを察してくれると信じてる。」
杉本が篤史に語りかける。が、篤史はまた可笑しそうに笑って言った。
「あんたこの期に及んでまだそんなうわごと言ってんの?担任がこれじゃ、生徒もロクなのいなくて当然だな。」
「何を…」
「俺はな、あの事以前にあんたらのクラスにはつくづく嫌気がさしてたんだよ。」
「え…?」
篤史は鋭い眼光で一同を睨んだ。
「お前らみんな仲良しこよし、お手々つないで歩きましょう。ガキか。」
「篤史…」
「すっげーまとまってるよな。気持ちわりーんだよ。」
篤史は嘲笑いを浮かべながらずけずけと言った。
「クラスで何か決めるときも、ほとんど全員一致だもんな。俺以外は。」
確かにクラスで多数決を取るとき、篤史一人が違う意見を出すことが多かった。
篤史の言葉はさらに続いた。


続く

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