精霊召喚-7
このまま幻魔は美佐代の命が尽きるまで暴走を続けるだろう。そうなればこの町は、いや、日本は、いや、世界は破滅する。精霊は涙を流した。しかし、その涙が地上に届くことはなかった。
「美佐代の幻魔はもう美佐代を死なせない限り止らない。でも、美佐代を殺めるなんてことはしたくない。」
精霊は混乱状態になりかけていた。精霊が混乱することなどありえないのだが、八方ふさがりのこの状態ではさすがの精霊もなすすべなく、ただ見ているしかなかった。たとえ自分が誰かに召喚されても何も出来ないかもしれない。
暴走はひどくなる一方で、校舎もみるみるうちに壊れていった。もうこうなると上や下への大騒ぎになって警察、消防、救急が全て呼ばれた。最初に警察の特殊部隊が幻魔と対峙した。だが、その幻魔を見たものは皆動きを止めた。声すら出ない。後ろから続いて消火にあたった消防隊員も言葉を失った。救急隊員も校舎の中に入ったが、今起きていることが飲み込めずにいた。
「バンッ!!」
警察の特殊部隊のうちの一人が、幻魔に向かって発砲した。しかし、ダメージはないようだ。それどころか、幻魔の暴走をさらに勢いづける結果となった。結局、その場に駆けつけた警察、消防、救急隊員の全てが焼き尽くされた。辺りは原爆投下直後のときのような状態になった。
この事態に内閣も黙っているわけにはいかなくなり、とうとう自衛隊が送られた。その間も報道関係者や周りの住民がどんどん犠牲になっている。美佐代の魂は狂いきってしまっている。もう誰が敵なんかどうでもいい、といった感じで、幻魔は破壊と殺戮を繰り返した。自衛隊の加勢も空しく、犠牲者は増える一方である。精霊はこの惨劇を見たくないと願った。しかし、これを見るのが精霊の務め、決して目をそらすことは出来ない。
「・・・。」
精霊は絶句。もうどうしようもない。と、そのとき、精霊の耳に声が聞こえてきた。
「美佐代さんを止めてあげてください。」
精霊は耳を疑った。だが確かに聞こえる。
「美佐代ちゃんが止まらないと私たちは呪縛から逃れられないの。」
さらに別の声が聞こえてきた。精霊は問うた。
「誰ですか、私に話しかけるのは?」
「私たちは美佐代ちゃんの友達です。もう死んでしまって魂だけになっていますが、こうしてやっと話しかけることが出来ました。」
声はだんだん確かに聞き取ることが出来るようになってきた。
「美佐代の幻魔はもう美佐代を死なせない限り止らない。でも、美佐代を殺めるなんてことはしたくない。」
精霊は混乱状態になりかけていた。精霊が混乱することなどありえないのだが、八方ふさがりのこの状態ではさすがの精霊もなすすべなく、ただ見ているしかなかった。たとえ自分が誰かに召喚されても何も出来ないかもしれない。
暴走はひどくなる一方で、校舎もみるみるうちに壊れていった。もうこうなると上や下への大騒ぎになって警察、消防、救急が全て呼ばれた。最初に警察の特殊部隊が幻魔と対峙した。だが、その幻魔を見たものは皆動きを止めた。声すら出ない。後ろから続いて消火にあたった消防隊員も言葉を失った。救急隊員も校舎の中に入ったが、今起きていることが飲み込めずにいた。
「バンッ!!」
警察の特殊部隊のうちの一人が、幻魔に向かって発砲した。しかし、ダメージはないようだ。それどころか、幻魔の暴走をさらに勢いづける結果となった。結局、その場に駆けつけた警察、消防、救急隊員の全てが焼き尽くされた。辺りは原爆投下直後のときのような状態になった。
この事態に内閣も黙っているわけにはいかなくなり、とうとう自衛隊が送られた。その間も報道関係者や周りの住民がどんどん犠牲になっている。美佐代の魂は狂いきってしまっている。もう誰が敵なんかどうでもいい、といった感じで、幻魔は破壊と殺戮を繰り返した。自衛隊の加勢も空しく、犠牲者は増える一方である。精霊はこの惨劇を見たくないと願った。しかし、これを見るのが精霊の務め、決して目をそらすことは出来ない。
「・・・。」
精霊は絶句。もうどうしようもない。と、そのとき、精霊の耳に声が聞こえてきた。
「美佐代さんを止めてあげてください。」
精霊は耳を疑った。だが確かに聞こえる。
「美佐代ちゃんが止まらないと私たちは呪縛から逃れられないの。」
さらに別の声が聞こえてきた。精霊は問うた。
「誰ですか、私に話しかけるのは?」
「私たちは美佐代ちゃんの友達です。もう死んでしまって魂だけになっていますが、こうしてやっと話しかけることが出来ました。」
声はだんだん確かに聞き取ることが出来るようになってきた。
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