欲望という名のゲーム?64
「こうやって、最終的にハートのクイーンとハートのキングの間に挟まったカードが少ないほどいいの。
希にうまくいくと、このクイーンとキングがピッタリとくっ付く事があるの。
それが最高なわけ。
女の人がやる時は、ハートのクイーンが最初で、ハートのキングが最後、男の人がやる場合はこの反対に、ハートのキングが最初で、ハートのクイーンが最後よ」
「どうして?」
「これは占いにも使えるのよ。
女の人がやる場合は、ハートのクイーンが自分で、ハートのキングが好きな男の人。
そして最後にクイーンとキングの間に挟まったカードを見て、二人の相性を占うのよ。
間にたくさんのカードが挟まっていれば、二人の関係はそれだけ離れているという事。
もし、クイーンとキングがピッタリと合えば、二人の間にはなんの障害もないってわけね。
間にジャックが入っていれば若い男の人が、間にクイーンが挟まっていれば女の人が、そして間にキングが入っていれば、年輩の男性が、それぞれ二人の間の障害になっているの」
「あんたも占ったの?」
「やってないわ。
私はただ遊んでいただけ。
占いをする時には、もっと神聖な気持ちでやらなくっちゃ。
愛は遊びじゃないもんね」
「でも、遊び心を忘れた愛なんて、ただの重荷だよ」
孝子が少し笑った。
「深雪姉さんって、時々面白い事言うのね。
でも覚えておこうっと、なんだか将来役に立ちそうな一言だったから」
「経験が言わせただけだよ。
それよりもさ、今のあんたの説明を聞いてて、一つ思い付いたんだけど…
クイーンってさ、トランプにもあるんだよね」
この事は本当は今朝気がついていたのだ。
だから彼女は孝子を捜していた。
「あっ、なるほど。
チェスのクイーンを探す手掛かりが、トランプのクイーンにあるんじゃないかって、そう思っているのね」
「そうなのよ。
それとね、雅則兄さんは
『捕らわれのクイーン』
って言ってたでしょ。
チェスのクイーンがどこに捕らわれているかは分からないけど、でもトランプのクイーンなら、どこに捕らわれているか分かるわ」
「どこ?」
孝子がいかにも興味津々といった様子で聞いてきた。
深雪は内心ニヤッとした。
なんとか孝子に、宝探しに興味を持たせる事に成功したからだ。
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