時代(とき)を超えた青春*告白
悌次郎はそっと自分の両手を彩の手に乗せた。「なあ、約束して欲しい。未来に帰っても…俺の事、忘れないで欲しいんだ…ずっと…」「忘れるわけないよ…悌次郎君の事…す、…す、」 彩はどうしても[好き]と言えなかった。顔が熱って、悌次郎に真っ直ぐに見られていると―。「俺だって…」悌次郎は何か言おうとしていたが、口ごもっていた。二人はお互いの気持は分かっていても[好き]の一言は言えない…。二人は見つめ合っているだけで、何も話さず、そのまま茶屋を出てしまった。外は山の上に掛っている大きな夕陽が辺りを照らしていた。「綺麗…こんな夕陽、見たことないよ…会津って―いい所だよね」彩が言葉を発すと、悌次郎は「ああ…」と頷いた。彩は次の言葉が見つからず、思いきって悌次郎の手を取った。「こうすると、温かい…ね」「彩さん…」二人は照れながら、やがて手を繋ぎあった。心が通った瞬間だった―。 (続)
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