欲望という名のゲーム?92
明彦は屋敷中を、ただイライラと歩き回った。
時々立ち止まり、壁を手で叩いてみたり、あるいは押してみたりした。
自分でも何をしているのか分からない。
どうしようもない、やるせなさ。
全てが終わる時は、すぐそこまで迫っている。
だが、なす術がない。
手掛かりはもう何もない。
考える事は考え尽くした。
何の手段もなく、何の方向性もないまま、ただイライラと歩き回る事しか出来ない。
どうする?
自分に問い掛ける。
しかし答は出ない。
だが、諦める訳にはいかない。
では、どうする?
同じ事の繰り返し。
そして、終わりのない繰り返しであった。
その夜の夕食は、まったく何事もなく終わった。
明彦と深雪は、さっさと食事を済ませると、自分の部屋に帰って行った。
孝子には、恒例のアイスクリームのデザートが運ばれる。
今夜は鹿島も姿を見せなければ、テープの公開もない。
喜久雄と友子は、まるで恋人同士の学生のように、ビリヤードの事を楽しそうに話し合っている。
孝子は牧野と、なにやらアイスクリーム談義をしている。
こうして、六日目の夜が終わろうとしていた。
そして、二百八十億を賭けたゲームは、ついに最終日を迎えようとしていた。
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