奈央と出会えたから。<411>
ユカの家を出てから、
聖人は、あたしを家まで送ってくれた。
少しの間、
あたし達は手をつないだまま、
何も話さないでいたんだ。
ユカが3学期いっぱいで転校してしまうなんて。
あたしもショックだったケド、
きっと、
聖人もショックだったんだよね。
今日は、ユカのお父さんが、ご自慢のお料理をご披露してくださると言うので、
招待されたあたし達だケド、
本当のところは、
その話をする為だったんじゃないかと思う。
『なぁ奈央。』
聖人に突然呼ばれる。
その言葉の続きは、ユカの話かな――
『うん?!』
仲間が――
『やっぱ考えさせられるよな。』
『え?!う‥うん。』
遠くに行っちゃうんだもん――
『あの料理は、なぜあんなに美味かったのか!!』
『は‥はあぁぁ?!』
聖人は、ふざけてあんなコト言ってたケド――
『俺、親父と2人暮らしだろ?!
日頃の食生活マジひでぇし。』
『うん。ちゃんと野菜とか食べてる?!』
ホントは、
あたしと同じ気持ちだったと思う――
『あ―。そーいや最近食ってねぇかも。』
『だめだよ。ちゃんと野菜もとらなくちゃ。』
寂しくなるなって――
『おぅ。じゃあさ、今度、奈央が作って。』
『‥‥うん/////
いいよ/////』
思ってたと思う――
『へっ。作れンのかよ?!』
『あっ!!バカにしてるでしょ!!
つ‥‥作れるもん!!』
ああ‥何だか――
『ハハハ。はいはい分かった分かった!!
ムキになンなよ!!』
『なってない!!』
涙が出そう――
『秋田谷と一緒に過ごせンのも、あと半年もねぇケド、
思いっきり楽しい2年の思い出作ろうゼ?!』
『うんっっ!!』
あなたの笑顔はたまに、
とても悲しそうに見えるね――
あなたと出会ってから2回目の秋が、
通り過ぎようとしています―――
感想
- 39599: さんちゃんありがとうございます?麻呂 [2011-01-16]
「 麻呂 」の携帯小説
- 奈央と出会えたから。<434>
- 奈央と出会えたから。<433>
- 奈央と出会えたから。<432>
- 奈央と出会えたから。<431>
- 奈央と出会えたから。<430>
- 奈央と出会えたから。<429>
- 奈央と出会えたから。<428>