欲望という名のゲーム?93
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四月二十一日\r
その朝、明彦はある決心をしていた。
これが彼に残された最終手段であり、そして時間はあまりにも限られていた。
明彦が食堂に入ると、すでにほかの四人は朝食を始めていた。
喜久雄と友子は今日もビリヤードをするらしく、早く食べて行こうと話し合っている。
孝子は分厚い本を読みながら、バニラアイスを乗せたバタートーストを食べている。
深雪は煽るようにコーヒーを飲むと立ち上がった。
食堂の入り口に立っていた明彦の前まで来ると、
「どいてよ」
一言そう言って明彦を押し退け、そのまま食堂を出て行った。
階段を昇ろうとしていた深雪を、後ろから明彦が呼び止めた。
「深雪、話がある」
「なによ、うるさいわね!」
深雪はイライラした様子で言った。
「まぁ、そう言うな。
ちょっと俺の部屋へ来ないか?」
そう言って、強引に深雪を部屋まで連れて来た。
「なによ、話って?」
ソファーに座って足を組み、煙草に火を付けながら深雪が言った。
「期限が今日一日しかないってのに、俺はもうお手上げだ。
どうしていいか分からん。
だが、このまま諦めるには、あまりにも惜しい金額だ。
そうだろ」
「そんなこと、今さらいちいち言われなくたって、分かってるわよ!
でも、どうしようもないじゃない。
だって、あと一日しかないっていうのに、まだ何にも分からないのよ。
何ひとつ発見できないのよ。
もう、おしまいよ!」
「いや、たったひとつだけ方法がある。
それが有効かどうかは分からんが、しかしこのまま黙って引っ込んでいるよりはいいと思う」
「なによ?」
「全員が協力するんだ。
それしか方法はない。
これは一人の知恵で太刀打ちできるような、簡単な事じゃなかったんだ。
だが全員が意見を出し合えば、もしかしたら見つけられるかもしれない。
俺はさんざん考えたよ。
だがほかに方法はない。
これが最後のチャンスだ。
確かに全員で協力すれば、独り占めって訳にはいかない。
だが明日になれば、何もなくなるんだ。
一人五千万渡されて、あとは国に寄付されちまう」
「三人よれば文殊の知恵って訳ね」
「どうだろう、深雪」
深雪はしばらく考えていたが、ふいに煙草を消すと立ち上がった。
「たまにはいい事言うのね」
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