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一緒にいたくて〜目覚める記憶〜

[330]  ひまわり  2010-08-07投稿
彼女は遠くて暗い森にいた。何も持たずに、ただ立っていた。ずっと空を見てただ立っていた。遠くに遠くに行ってしまいそうな、早く掴まないと、消えてしまいそうな予感が胸をよぎった。

彼女は何故か泣いていた。途端に泣き崩れてしまった。どうして泣いているのだろうか。

彼女は何かを言った。聞こえないような小さな声で。近づいていったら、今度はハッキリ聞こえた。
「なんで死んじゃったの!」

ピピピピッ
ピピピピッ
ピピピピッ

「う〜ん、今何時だよ…ゲッ!8時じゃん!」

秋(しゅう)は、慌てて学校の準備をして朝ご飯も食べずに家を出た。8時に起きても遅刻はしない。何故なら、家から3分の所にあるからだった。いつもならまだ、ゆっくりしているが今日は日直だった。

靴箱にいき、靴を脱いで上履きに履いているときだった

「おっそ〜い、何してるのよ!全部私がしたのよ!」

「ごめん、今日もいつも通りに起きちゃって!帰りは全部俺がするからさ」

「当たり前よ!まったく、ちゃんとしてよね!」

「本当にごめん!」
そういうと委員長は教室に怒りながら入っていった。後から俺も入った。

今日も1日何も変わらずに過ぎていく。面白くない授業に、友達との楽しい会話。そう、いつも通り‥。

下校の時間になり、帰ろうとしていたら委員長が

「日直の仕事、やってね!」

「は〜い」

怒気丸出しで教室を出ていった。

教室には俺一人になってしまった。静かな教室に。

日直の仕事をしていた時だった。一人の女の子が声をかけてきた。

「大変そうだね。私も手伝ってあげようか?」

見たこともない顔だった。転校生かと思ったが、そんな話聞いていなかった。

「いいよ。一人で出来るし。だいたい女の子に手伝ってもらうなんて恥だ。」

「大丈夫だよ!誰も見てないし!」

「見てるよ」

「えっ、誰が?」

辺りを見回した。でも、誰もいなかった。

「誰も見てないじゃん」

「見てるよ。お前」
「私?大丈夫だよ!誰にも言わない」

そういって手伝いだした。

「お前さ、誰なんだ?見たことないけど、転校生か?」

「・・・、違うよ!本当に覚えてないんだよね。」

悲しそうに笑う彼女は、どこか懐かしい感じがした。

分からない何かが、頭に引っかかっていたが、儚く消えてしまった。

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