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手紙 扇風機からエアコンへ

[820]  デフレーター  2010-08-07投稿
前略
暑い日が続きます。
私たちがあらゆる場所で休みなく働く季節です。
とは言っても
私はあなたの登場によって
徐々に日の目を見る機会が失われ
今ではごく一部の家庭に住まわせていただくに留まっています。

あなたには1年中働く機会が与えられています。
暑い夏にはひんやりと涼しい空気を流し
寒い冬にはぽかぽかと暖かい空気を流しています。
それに引き換え私は
夏が終われば用済みでお払い箱。
虚しく解体されるか
埃をかぶるままに放置されるのです。
正直、あなたのことを羨ましく、そして恨めしく思います。
手前味噌ではありますが一般家庭に普及し始めたのは、
私の方がずっと先でした。
羽根を電気の力で動かして
自然に近い涼しい風を送り
暑い夏をしのぐ。
私は夏の間はそれは重宝されたものです。
そこに突然、あなたは現れました。
始めは、「3C」の一つとして、私同様涼しい風を出していました。
しかしある時から、あなたは涼しい風と暖かい風両方を出すように進化を遂げました。
さらに夏は私より涼しい風を感じられるという理由で、
あなたは一般家庭はおろか企業や商業施設にまで急激に普及し
私の存在感はすっかり薄らいでしまいました。
たまに子供達が働いている私の顔に向かって「あー」と叫んでいます。
とても、不本意です。
しかしながら、最近はあなたのお陰で私の良さに注目が集まりつつあります。
急速に進む地球温暖化の中、あなたはエコロジーの観点から活動を控えられつつあります。
同じ時間活動した場合、あなたよりも私の方が消費エネルギーが少ないということでしょう。
さらには、あなたの活動によって体調を崩す方もいらっしゃると聞いています。
ですがそれはあなたを利用する方にも問題はあると思います。どうか気を落とさないでください。
私は限りなく自然の風に近い風を送ることができ、
冷房器具としてまだまだ活躍できる自信があります。
そんな私でも、やはりあなたと対等にはなれそうにありません。
時代が進むにつれて、
昔ながらの形状の私は
徐々に淘汰されていくのでしょう。
そしてあなたも
時代に合わせて様々に進化するでしょう。
お互い、目の黒いうちに一生懸命働きたいものですね。それでは。


草々

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