欲望という名のゲーム?96
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五人は明彦の部屋から食堂へと移動する事にした。
こういう話し合いには、ソファーよりも食堂のほうが落ち着くと、喜久雄が提案したからだ。
一同がホールまで降りると、庭で車のクラクションが鳴った。
五人が表に出てみると、最初の日に乗ってきたマイクロバスと、そしてもう一台、黒の乗用車が止まっていた。
バスには、行きに運転してきた男が乗っている。
乗用車に乗っていた、もう一人の男が出てきた。
「あの、鹿島さんは?」
「鹿島なら上にいると思うが…」
明彦が答えた。
「そうですか。
では、車のキーをお渡し願えますか」
「ああ、いいよ。
預かっておこう」
キーを明彦に渡すと、その男はバスのほうに乗り込んだ。
「では、明日もう一度伺います」
男はそう言い残して、バスは去って行った。
皆が屋敷に戻ると、鹿島が階段を降りてくる途中だった。
「ほら、キーを預かったぞ」
そう言って、明彦は鹿島にキーを投げ渡した。
「これはどうも。
さて、これで私の方の準備は出来ました。
私の所に相続権利書をお持ちになれば、私はすぐさまこの車で東京の事務所に行けます」
「俺達も戦闘準備は出来た」
「ほう、皆様が一同にお集まりという事は、全員で協力なさる事にしたのですね。
雅則様VSご兄弟といった構図ですか」
「まっ、そんなところだ。
期限は今日一日ということだが、ギリギリのリミットは何時だ?」「そうですね。
明日中に手続きを取るためには、今夜の十二時が限度でしょう。
十二時までは私が保証しましょう。
しかし、それを過ぎたら諦めていただきたい」
「分かった。
必ず十二時までに提出しよう」
五人は食堂のテーブルについた。
奥から牧野が慌てて出てきた。
「あの、ランチには少し時間が早いのでは…」
「いや、飯を食いに来たんじゃない。
コーヒーでもいれてもらおうか」
コーヒーの香りが食堂に満ちた。
とりあえず明彦が進行役を務める。
「よし、時間がないから、さっそく始めよう。
まず『猫』からいってみるか。
それが順序だろうからな。
あの『パブロ』と言う名前については問題なないだろう。
『ピカソ』の事だとはっきりしている。
問題なのは、この屋敷の中に、『ピカソ』に関する物が何もない事だ」
「はい!」
孝子が教室の生徒のように手を上げた。
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