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走れ! 6

[650]  にゃんこ  2010-08-11投稿
灰色の公道。

赤いライトを点滅させている車。

よろめきつつ近づいて、ふと僕の脳裏に疑問がよぎる
こんな真夜中、こんな場所で端にも寄せず…何をしているんだ?

拓斗がいち早く近づいて、車の窓を叩いている。

月明かりより確かなはずの街灯が明滅し、僕の漠然とした不安を煽る。
圭司は僕と目線を合わせ、また拓斗に戻した。

苛立つ思いをぶつけるように窓を叩く音に力がこもる…風がざわめき、生者が立てる音に怒りを覚えたかのような唸りが巻き起こる。
おかしい。

拓斗もようやく気づいたのか僕らを振り返った。

圭司はゆっくりと向かい、僕もそれに続く。

「おっさん、酔ってんじゃねえのかな…全然起きないんだよ」

運転席に座る男…でっぷりしたオジサンらしき人は、確かにうつぶせたまま動かない。
闇にとけこむような黒いセダンのハンドルにつっぷしたままだ。

「…おい」

まさか死んでるのか、と思った刹那、男はぐらぐらと揺れた。
良かった、生きている。 拓斗の言う通り泥酔しているんだろう。

圭司が、車のドアに触れ、「なんだ、空いてるぞ」

と呟いた。

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