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欲望という名のゲーム?107

[617]  矢口 沙緒  2010-08-16投稿



「駒の動きは将棋と似てる所が多いから、すぐ理解できるはずよ。
でも、ここに詰将棋とプロブレムの違いっていうのが書いてあるわ。
詰将棋は連続王手で相手の王を詰めるが、プロブレムはその必要はない、ですって。
ここに例題が載ってるから、これを見ながら要領を覚えましょうよ」
孝子は喜久雄に、駒の動きとその説明を始めた。
「なるほど。
将棋と似てるな。
これならなんとかなりそうだ。
ただ問題は、王手をかけなくてもいいってところだな。
これは逆に選択肢が多くて、詰将棋よりも難しいぞ。
それに何手詰めかも分からないし…」
「それなら分かるわ。
ニ手詰めよ。
詰将棋で言うところの三手詰め。
チェスでは、こちらと相手が一度づつ駒を動かして、その二つの動きをひとつとして『一手』と数えるの。
シミュレーションゲームの『ターン』と同じね」
「どうしてニ手詰めだと分かる?」
「ほら、雅則兄さんが、最後のテープの終わりに言ったじゃない。
『あとニ手で私をチェックメイトにしろ』って」
「そうか、あの時か!
よし、分かった。
それなら何とか出来そうだ」
孝子と喜久雄はチェス盤を挟み、ああでもない、こうでもない、とやり始めた。
「あたし達はどうする?」
「俺達三人は、次の事を考える」
「次の事って?」
「喜久雄が出す答が、どこに関係してくるかを考えるんだ」
「やっぱりチェス盤じゃないかしら?」
友子が言った。
「さっき駒と盤を取りに行った時に思ったんだけど、あの部屋にはたくさんのチェス盤があったわ。
あの中のひとつじゃないかしら?
その特定のチェス盤の、特定の位置に秘密があるんじゃないかしら。
特定の位置っていうのは、もちろん詰チェスの答の位置よ」
「よし、俺達は三階に行くぞ」
その時、柱時計が十時を告げた。


感想

  • 40203: いつも本格的な小説、楽しみに読ませていただいています。 [2011-01-16]
  • 40221: とても励みになります:沙緒 [2011-01-16]

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