時代(とき)を超えた青春*祝言
彩はさつきの家へと帰った。「ただいま、あれ、さつきちゃん…?」さつきの姿が見つからなかった。「彩ちゃーん!こっち!」さつきが呼ぶ方へ彩が行ってみると、さつきは豪華な桜が描かれていた着物を身に帯ていた。「うっわぁ、さつきちゃんそれどしたの?すっごい豪華!」「うふふ、源七郎様との祝言(結婚式)に着るの!後一週間後!」「え!結婚するの!?おめでとー!16歳で結婚かぁ源七郎君、きっと綺麗って言ってくれるよ!」「でも…仮の祝言になるかもしれないの…。」さつきが悲しげな声で言った。「仮の祝言?」「源七郎様…、戦に…。」「知ってたの…さつきちゃん…」「戦…会津が不利だって…彩ちゃん知ってた…?」「うん…」「もしかしたら…、源七郎様…逝ってしまうかも…しれない…」さつきは下を向いた。「死になんかしないよ…!絶対!」彩はこう言ったが、源七郎も白虎隊の一人だ。どうなるかは分かっている…。「でも…私は…、源七郎様の妻になりたい。一緒に助け合いながら…生きていきたい」「さつきちゃん…」彩はさつきの源七郎に対する本心を知った。逸話によるとさつきは生きて帰らぬ夫・源七郎が眠る飯盛山に欠かさずにして夫の墓に皐の花を供えていたという…。(続)
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