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七色の金魚?

[323]  MINK  2006-08-31投稿
私は、自分のマンションにもどるやいなや宝箱をひっくり返した。
きっと、そのヒロとか言う彼の物があるのだとしたらその中にしかないと思ったから。
案の定、手紙やキーホルダーや指輪やピアス、小説や映画の半券やらたくさんでてきた。
なのに、私は彼の事が思い出せない。彼の顔さえも。声さえも。
私は、ヤエの言葉を思い出した。
          七色の金魚の話を知ってる?
私は机の上の金魚を見た。
「ヒロ…」
そうだ、明日でこの金魚はヒロの思い出を持って消えちゃうんだ。
「イヤだ!!」
私は、金魚を見て叫んだ。
それでも、思い出を持っていく事を止めることができないみたいで、私はヒロとの最後の思い出を思い出していた。
それは初めて彼と出逢った日の事だった。
私は、その日彼氏に振られて誰にも会いたくなくて急いで帰っていた。
その時、男の子とぶつかった。
私は手に持っていた彼からのプレゼントの蝶々のブローチを落とした。
「すいません」
そう言って、立ち上がった彼が一歩私に歩み寄った時、「ポキ」っと綺麗な音がした。
彼が申し訳なさそうに足を上げるとその下には羽が折れた蝶々のブローチがあった。
「すみません!!」彼はものすごい勢いで謝って、そのブローチを優しく救い上げた。
そして、「ちょっとお時間下さい」と言った。
私は「どうせ捨てるものだったから、気にしないで」と言った。
でも彼は「こんな綺麗な蝶々が飛べないのは悲しい」と言って俯いた。
少々面倒だなとは思ったけれど、丁度一人ではいたくなかったので付き合うことにした。
彼は、鞄から接着剤を取り出して丁寧に折れた部分をくっ付けた。
それから五分くらいした時には綺麗に元に戻っていた。
「ありがとう。でもこれ元彼からのプレゼントで。捨てるつもりだったの」
「でも、この蝶々には罪はないじゃないですか」
そう言って彼は優しく笑った。
私も笑顔を返した。
「そうかもね。ありがとう」
彼は、少し照れたのか、赤くなって俯いた。

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