リレー小説「王国の掟」最終話?〜麻呂〜
「僕は、この国の王だ。
僕が王としてしなければならない事は、この国を笑顔で溢れる国にする事。
母の教えを、この国の掟とし、その掟を守る事を皆に伝えた今、
僕が守るべき物は、平和なこの国。」
王様は、自分自身にそう言い聞かせながら、皆と共に船から下ろした家畜達の小屋を作り始めました。
けれどその間も、王様の心が落ち着くはずがありません。
一体自分がこの国を留守にしている間に何があったのだろうか――
そんな思いが次から次へと沸き上がって来るのです。
一緒に作業をしている者に聞いても、皆何も分からないと言います。
「そうだ。タケルはどうした?!
サラと、僕が留守の間の国を守る様に頼んでおいたのだけれど。」
王様が皆にそう訊ねたその時でした――
真っ青な空に浮かぶ真っ白な雲が、突然2つに割れ、
その隙間から、眩しいほどの黄色い光が、王国全体に降り注いだのです。
天空から降り注ぐ凄まじい光に、王様と王国の人々は、目が眩み、
とても目を開けていられる状態ではありませんでしたが、
その光の中から聞こえてくる声に、皆が耳を傾けました。
「バズーよ。よく聞け。
この国に掟を作り、私が下界へ下りる事を命じた、私の下に仕える者達を従え、
よくぞ、ここまで国を発展させた。
その功績を褒め称えよう。
しかし、まだ国は発展途上。
お前がこれからするべき事は、お前自身が分かっているはずだ。
お前の体内には、父親ラドルドの血が流れているという事実は、消す事は出来ぬが、
これからも、この国の王として国を守り、国の発展に努めるのだ。」
その声は、まさに下界にいる者の声とは違い、姿こそ見えませんでしたが、
ここにいる王様と王国の皆が、神の声だと判断する事が出来るほど、神聖なる者の声だったのです。
今、ここにいる者全てが、神の声に、ほうふつとした表情を浮かべ、
まるで、時の流れを遮断されてしまったかの様でした。
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