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リレー小説「王国の掟」最終話?〜麻呂〜

[434]  麻呂  2010-08-25投稿

王様は、サラと出会ってから、ずっと心に留めていた母への思いを、今が伝えるチャンスだと悟りました。


「あなたが神なのでしたら、僕は、ひとつお尋ねしたい事があります。

僕を15歳になるまで育ててくれた、お付きの乳母のクルエラは……

どこかで無事に過ごしているのでしょうか。」


王様の問いかけに対し、神の言葉は、天空から静かにゆっくりと響き渡りました。


「さっき言ったはずだ。

お前のするべき事は、この国を守り、国の発展に努める事だとな。

お前を育てた乳母は、あくまでも乳母だ。

何をそんなにこだわる必要がある。

サラは、まだ使命を達成してはいない。
しばらくは下界に置いておく。」


神の言葉と共に、2つに割れた空は元に戻り、まるで、何事も無かったかの様に、再び王国に優しい時間が流れ始めました。


「僕の父は独裁者だった。

その父は神による制裁を受けた。

しかし、その神により、僕は生かされている。」


神の言葉は、決して王様の納得のいく答えではありませんでしたが、


初めて聞く神の声に、王様は、とても複雑な気持ちになったのでした。



ヒュー―バンババンッッ―ー‐



王様が再び、王国の人々と共に家畜の小屋を作る作業に当たり始めると、


背後から大きな花火が上がる音がしました。


突然の爆発音に、王様は驚き、辺りを見回すと、


何と目の前には、サラとタケルが立っているではありませんか。


いえ、サラとタケルだけではありません。


王様の知らない間に、王国の住人全てが、王様の周囲を取り囲んでいたのです。


「せ〜〜のっっ……
王様!!

お帰りなさい!!」


タケルの音頭で、王様を取り囲む、王国の住人全てが声を合わせ、


今、王様の無事の帰りを祝う声が、ひとつになりました。


「……な…みんな…
こんな所にいたの…?!」


王様の声が若干上擦っていた事に、サラもタケルも王国の皆誰もが気付いていました。

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