雪の華?
『放して!放せ!黒峯を殺して私も死ぬの!放せェェ───!殺すの!許さない黒峯を殺して私も死ぬ!放して聖夜!!放してェェ─────────!!!』
「──……あの時は黒峯が憎くて許せなくて……でもどうしようも無く愛してた」
「……知ってる。分かってた。俺はずっと…お前だけを…見てたから…」
桃実は、顔を歪め、涙を流しながら聖夜に深く頭を下げる。
「私は……傷跡が残るって訊いた時、醜くなった私をもう二度と黒峯は愛してくれ無いって諦めた。……でも聖夜は……こんな私でもいいって傍にいるって…言ってくれた。でも私は……誰でもよかった。聖夜じゃなくても誰でも…黒峯以外はみんな同じだった」
「うん……それも…分かってた。お前心からの笑顔…黒峯以外には見せなかった。黒峯以外はお前にとって〈特別〉じゃない〈同じ〉奴らって事…分かってた…」
「私は……あなたが私を愛してる事を知っていながら、誰かに傍にいて欲しかった。聖夜の気持ちを利用した。許されない…最低の行為…」
「俺は……俺は利用されてでも傍にいたかったんだ。ようやく…兄貴からお前を奪えた。俺だけのモノになってくれた。お前が俺の気持ちを利用したって罪悪感持つなら俺だって……汚い」
桃実は、頭を床まで下げ、土下座をする。
「あなたの優しさが好き。でもその優しさを愛した事は一度も無い。優しい聖夜を私は愛して無い。聖夜は好き…だけど愛して無いの。ごめんなさい…もう私を忘れて…自由になって…」
「桃実…」
「ごめんなさい…ごめ…んな…さい。ごめんなさい聖夜、ごめ…」
桃実は、頭を下げ泣きながら聖夜に謝った。
愛してもいないのに、ただ自分の勝手で付き合わせ続け、縛り気持ちを踏みにじり続けた最低な行為を、繰り返し謝った。
ごめんなさい、ごめんなさいと桃実は謝り続け、頭を下げる桃実を、聖夜は辛そうに見下ろしている。
「俺は……ずっとお前の傍にいたい。愛してくれなくてもいい。ただ……傍にいてくれたら…それで…」
「…ごめ…んなさい。私は聖夜が好きなの。幸せに…なって欲しいの。私といても…苦しませる…だけなの。ごめ…んなさい」
そうやって桃実も朱斐も
ずっと
ずっと兄貴を
兄貴だけを愛し続けるのか…
感想
- 3798: (>_<) [2011-01-16]
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