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パラレルファンタジア 第三章(1)消えない影5

[327]  黒井  2010-08-29投稿
(何を言っているの?)

僕は無言で右手に強い祈りを込める。すると、右手が光に包まれ何かが現れる。それは、黒い鉄製の剣のようであった。

(どういうこと?)

僕自身もどうして武器を召喚できるのかわからなかった。

右手に構えた鋭い剣を首筋に噛みつくディアーガの頭を狙い突き刺す。だが、黒い霧となりディアーガは消える。右手にも、刺した感触が伝わって来ない。
「これも偽物なのか?」

(雄!目の前に分散したディアーガが)

目の前には、4匹に分散したディアーガが待ち構えていた。

「この時を待っていた」

僕は、剣を軽く振るう。すると、剣先が縦にスライドし銃口が現れる。

右手に構えた剣を分散したディアーガに向け、意識を集中させ剣に力を込める。
次の瞬間、銃口から鋭い閃光が放たれる。右手に、軽い反動が伝わる。
閃光は、複数のディアーガの全身を容赦なく貫き、ディアーガは光の塵となり消える。

「終わった…」

全身の力が抜け、地面に仰向けに倒れこむ。

(どうして…あなたが…)

アイリは、驚きのあまり言葉を失っていた。

「僕にもわからない…」

それにしてもおかしい、致死量の血を流しているはずなのに全く意識がある。それに、パラレルの住人ではない僕が、どうして武器召喚ができるのか。

「少し疲れた…ちょっと寝るよ」

(ちょっと…そんな状態で…しかも、あんなに血を流して大丈夫なの?)

「…」

僕は、いつの間にか街道に眠ってしまっていた。



目が覚めると僕は自宅のベッドに寝ていた。首の傷は、不思議なことに無くなっていた。

(目が覚めた?)

アイリが心配そうに言った。

「うん…大丈夫」

(あの後、あなたは、管理局に運ばれたのよ。怪我は、昨日の眼鏡の少女が治癒魔法で徹夜で治してくれたわ)

「そうか…あの人か。お礼を言わなきゃ」

(それから、あなたの先ほどの戦闘のデータはヘレーナに伝えたわ。あなたの能力について何か分かるかもしれないわ。)

「何かわかるといいけどね〜」
部屋のカーテンを開けて窓の外を見ると、すでにもう朝を迎えていた。

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