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ロストクロニクル 最終章1

[387]  五十嵐時  2010-09-04投稿
「チェロ様、僕達はパラス城へ向かわなくてはいけません」
チェロは驚いた顔を見せた。
「貴女はここに残って下さい。僕達の本来の目的は木彫りの不死鳥を集め、不死鳥を召喚することです。そして、不死鳥を召喚する為に必要な石盤は城の最上階にある。僕達はそこへ向かわなくてはいけません」
タクトの隣にはウェド、フラット、シャープが立っていた。
「わかりました」
チェロはそういうと首にかけていた大きなルビーのついたネックレスをタクトに預けた。
「これが貴方を助けるでしょう。まぁ、お守りとでも思って持っていて下さい」
チェロはにっこり笑うと家の中へ入っていった。
「おい」
城へ向かおうとした時、タクトはひとりの兵士に呼び止められ、兵士の方を振り向いた。
「お前、その剣はベルズ鉱石でできてるな」
タクトはただ頷いた。
「格上の敵と戦うとなると、時に武器の使い方をよーく考えないといけない時がある。お前の剣はどうだろうな」
タクトが訳が分からないという顔をすると、よく考えろと言い残し、兵士は家の中へ入っていった。

「うじゃうじゃいやがるぜ」
タクト達は城の前まで来たもののあまりの兵士の多さに様子をみていた。
「これじゃあ、埒があかないね」
四人の目の前に突然鏡が現れた。
「ひさしぶり、憶えてる?」
鏡から出てきたのは、紛れもない。
「ダイヤ!」
「タクト、あたしはちゃんと恩を返すタイプだからね。あたしがスペースで兵士を引き付けるからその間に城に入って」
ダイヤは城門前に巨大な鏡を出現させると中からあの化け物が現れた。
「だけど、どうして君がここに?」
「話は後、さぁ行って」
混乱に乗じてタクト達は、時折立ちはだかる兵士を蹴散らし、城門の前へ辿りついた。
「スペース!」
タクトが呼び掛けると鏡の化け物は城門に体当たりし、派手に城門を突破した。
「くそ!数が多過ぎる!」
「スペース!」
仮にも相手は一国の兵士、スペースはみるみる内に衰弱していった。
「このままじゃやられますよ!」
その時、再びダイヤの声がした。
「まだまだ終わらせない!」
今度はあちこちに無数の鏡が出現し、中から数多くの人々が現れた。人々は続々と兵士に斬りかかる。
「よお、タクト」
背後にはシルヴァが立っていた。

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