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天使のすむ湖43

[291]  雪美  2006-09-01投稿
香里の自宅に着くと、体調が良いらしく、玄関のチャイムを鳴らすと、香里がドアを開けると抱きついて出迎えてくれた。
「いらっしゃい〜待ってたのよー」
甘い香りの匂いがしていた。ドキッとしてしまった。
「香里は、体調良いみたいだねー俺は最悪だけどねー」
香里は、リビングに俺を通すと、暖かいミルクティーを入れてくれた。
「岬ちゃんから聞いたわよー体育の授業中に熱で倒れたんですってねー」
「そうなんだよー自分じゃ無理してないつもりだったんだけどー」
と言うと、
「もう大丈夫なの?」
と、俺の額に手を当てて、
「でも私じゃわからないのよね、このごろ慢性的な微熱が続いてるからー」
と何でもなさそうに言うが、香里は本当は辛いのだろうと思った。
「点滴したら熱は下がったけど、まだだるいよーめったに風邪なんてひかないんだけどなー」
まだほてるような感触が、額に残り、出されているクッキーにも手が出ないのだった。

「桜井君のことも聞いたわよ〜一樹ファンなんだってね〜一樹は男にも女にももてるのねー」
とくすくすと笑いながら言った。
「香里との交際がばれないためのカムフラージュだよー俺はその気ないのに岬が勝手に決めたんだよ。」
とうんざりして言うと。
「いいじゃない、楽しそうで、それで退学を免れるなら安いもんじゃない〜」
香里も面白がっているようで、複雑な気持ちだった。
「桜井はさ〜いい奴だけど、俺には友達でしかないよ。」
と言うと
「今度つれてきて〜私も桜井君に会いたいなー週末にバーベキューでも湖でしない?それまでに一樹が回復したらだけどねー」
そういいながら、香里はカップのミルクティーをスプーンでくるくるまわしていた。
壁の天使の絵がこっちに満面の笑みを浮かべてみていた。
まだ咳がひどい俺は夕食だけすむと、その日は帰ることにした。


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