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欲望という名のゲーム?127

[660]  矢口 沙緒  2010-09-12投稿



「では最初のカードを見せましょうか。
貴方は私達がここに集まった日の夜に、屋敷中を案内してくれたわね。
そして最後に雅則兄さんの部屋に行った。
その時、貴方はこう言ったわ。
『この部屋には入った事がない』
って。
でも、それは嘘よ。
貴方は左右にひとつづつあるドアのうち、どちらが寝室のドアで、どちらが書斎のドアかを知っていた。
貴方が雅則兄さんの部屋を探し回った事があるからよ」
「そ、それは…」
「そうね、これはつまらないカードね。
では、次のカードを開くわね。
あの最初の夜のビデオテープの最後の所よ。
雅則兄さんはこう言っているわ。
『私の命があと三ヵ月だから、少し余裕をとって、諸君達に集まってもらうのは、今日から数えてちょうど半年後としよう』
ってね。
そこでテープは終わっているのよ。
ここにふたつの疑問があるわ。
ひとつめは、なぜテープの終わりに最後の挨拶が入っていないかよ。
ほかのテープには必ず入っていたわよ。
『おやすみ』
とか
『また明日会おう』
とかね。
もうひとつは、どうして
『ちょうど半年後』
と言っておきながら、なぜ正確な日付を言っていないかよ。
雅則兄さんの几帳面な性格からしたら、これはどう考えてもおかしいわよね。
ちょっとカレンダーを見ればいいんですもの。
それなのに半年後と言ったまま、最後の挨拶もなしに終わっている。
このふたつの疑問の答は、ひとつしかないわ。
誰かがテープの最後の部分を消去したのよ。
あのテープには、本当はもう少し続きがあったはずよ。
でも、それを誰かが消してしまった。
だから中途半端な終わりかたをしているのよ」
「それを私が消したと、そう言いたいんですね。
いったい、何のために?」



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