The Last Escape 第四章『凶暴性』 1
「怖くない?」
あれから、また何日かが過ぎた。
もう、日数を数えることなど忘れてしまっていた。
全部で半分は、過ぎただろうか。
それでも、まだまだ怖い。いい加減、警察が動き出すはずだからだ。
アルファの答えは、毎回決まっていた。
「ああ、大丈夫。」
だが、今回は少し変化があった。
「でも…」
でも?
「…いや、何でもない」
問いただそうか迷った。
「…そう…?」
が、止めておいた。
立ち入った事を、これ以上訊くべきではない。
「…あと、十日」
「そんなに経ってた?」
「うん。…ちらっと携帯見たらね」
「…そっか」
そんな会話しか、しなくなっていた。
…会話があるだけマシか。
この頃、益々寒くなった。
公共の水道や川なんかで体は拭けるものの、服はめったに洗えないので、汚れ、ボロボロになっていた。
「服、洗いたいなあ…。ねえアルファ、そう思わ…な…」
時間が凍りついた。
ブルーの制服。こちらに走ってくる。
アルファは私の手を取り駆け出した。
「ちょ、ちょっと…」
警官を撒くためだろうが、無茶な走りかたをする。
転ばないよう付いていくのがやっとだった。
それでも、また警官が追ってくる。
「チッ…この、クソ野郎が…」
そう言うと、私を前に投げ飛ばして振り向いた。
そして彼は警官の背後にサッと入り、首を締めた。
一分とかからなかった、彼がその警官を、いわゆる『落とす』のには。
彼は倒れた警官に中指を立てた。
「ポリ公が…十年早いんだよ!!」
私は彼に促されてその場を離れた。
何故?
これまでの彼とは明らかに違う。
何だか、怖い…
肩に回された手が、やけに冷たく感じた。
「やっと、警察が動き始めたのね」
「言っただろ?奴ら、タイミングを見計らってたんだ。…畜生…なめやがって…蛇の生殺しだ、これじゃあ!!」
そう吠える彼を見て、私は彼に付いてきた事を、初めて後悔した。
彼の精神は、限界に近付いている。
いや、もう達してしまったのかも知れないが、どちらにしろ、正常な判断はすでにどこかに行ってしまった。
焦るのは解るけど…彼に、あるいは彼の過去に、一体何があったというのだろう?
彼の尋常ではない眼を見ると、そう思わざるを得なかった。
あれから、また何日かが過ぎた。
もう、日数を数えることなど忘れてしまっていた。
全部で半分は、過ぎただろうか。
それでも、まだまだ怖い。いい加減、警察が動き出すはずだからだ。
アルファの答えは、毎回決まっていた。
「ああ、大丈夫。」
だが、今回は少し変化があった。
「でも…」
でも?
「…いや、何でもない」
問いただそうか迷った。
「…そう…?」
が、止めておいた。
立ち入った事を、これ以上訊くべきではない。
「…あと、十日」
「そんなに経ってた?」
「うん。…ちらっと携帯見たらね」
「…そっか」
そんな会話しか、しなくなっていた。
…会話があるだけマシか。
この頃、益々寒くなった。
公共の水道や川なんかで体は拭けるものの、服はめったに洗えないので、汚れ、ボロボロになっていた。
「服、洗いたいなあ…。ねえアルファ、そう思わ…な…」
時間が凍りついた。
ブルーの制服。こちらに走ってくる。
アルファは私の手を取り駆け出した。
「ちょ、ちょっと…」
警官を撒くためだろうが、無茶な走りかたをする。
転ばないよう付いていくのがやっとだった。
それでも、また警官が追ってくる。
「チッ…この、クソ野郎が…」
そう言うと、私を前に投げ飛ばして振り向いた。
そして彼は警官の背後にサッと入り、首を締めた。
一分とかからなかった、彼がその警官を、いわゆる『落とす』のには。
彼は倒れた警官に中指を立てた。
「ポリ公が…十年早いんだよ!!」
私は彼に促されてその場を離れた。
何故?
これまでの彼とは明らかに違う。
何だか、怖い…
肩に回された手が、やけに冷たく感じた。
「やっと、警察が動き始めたのね」
「言っただろ?奴ら、タイミングを見計らってたんだ。…畜生…なめやがって…蛇の生殺しだ、これじゃあ!!」
そう吠える彼を見て、私は彼に付いてきた事を、初めて後悔した。
彼の精神は、限界に近付いている。
いや、もう達してしまったのかも知れないが、どちらにしろ、正常な判断はすでにどこかに行ってしまった。
焦るのは解るけど…彼に、あるいは彼の過去に、一体何があったというのだろう?
彼の尋常ではない眼を見ると、そう思わざるを得なかった。
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